未来のクルマたちの競演—東京モーターショー
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国内外の自動車メーカーが最先端の技術を披露する「第44回東京モーターショー2015」が10月29日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した。各社は燃料電池車(FCV)や自動運転など環境性能や安全性を打ち出す一方で、クルマを運転することの楽しさを訴えた。
環境・安全を守るテクノロジー
前回(2013年)のモーターショーに引き続きエコカーが多数展示されたが、今回は走行時に排ガスを出さない「究極のエコカー」とされるFCVのお披露目が相次いだ。すでに世界初の量販車「ミライ」を発売するトヨタは、車で発電した電気を自宅の家電や他の電気自動車に供給できるコンセプトカー「FCVプラス」を発表。高級車ブランド「レクサス」からも試作車「LF-FC」を展示した。ホンダも2016年3月から発売する量産型FCV「クラリティフューエルセル」を世界で初公開するなど、今後の水素社会を切り開く車の発表が話題を呼んだ。
グーグルなど異業種も加わり、世界中で技術競争が繰り広げられる自動運転の技術では、日産自動車が20年以降の自動運転車をイメージしたコンセプトカー「IDSコンセプト」を出展した。加減速のタイミングなど人工知能がドライバーの運転の癖を学習し、自動運転時にその癖を反映して走行するのが特徴だ。三菱自動車もスポーツ多目的車(SUV)の自動運転の試作モデルを展示。富士重工業も独自の運転支援システム「アイサイト」を進化させたコンセプトカーを出展した。
スポーツカーの復権をめざして
クルマ本来の魅力である走りを追求したスポーツカーの展示も目立った。マツダは12年に生産を終了したロータリーエンジンを搭載したコンセプトカー「RX-VISION」を出展。ホンダは05年に生産を終えた「NSX」の新型車、トヨタも小型スポーツカーの試作車「S-FR」を公開した。国内大手8社の展示は前回の6台から11台に増えた。
地盤沈下が止まらない
今回出展したのは世界11カ国の自動車メーカーなど160社。前回の12カ国、178社に比べると縮小傾向にあることは否めない。世界各国のモーターショーと比較すると、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカー、そしてGMブランドなど純米国メーカーの出展が今回もなかった。かつては米デトロイトなどとともに世界3大モーターショーの一つとされたが、若者の車離れや高齢化による国内自動車市場の低迷に伴い、海外メーカーは中国などのショーをより重視する傾向にあるようだ。
タイトル写真=ロータリーエンジン搭載車の復活を目指して、マツダは試作車「RX-VISION」をお披露目