SNS

最新記事

ニュース

More

シリーズ 国際社会とともに
ヤンゴンの“山手線”再生へ:渋滞緩和と鉄道近代化への挑戦(下)
[2018.07.26]

ミャンマーの鉄道近代化に向け、現地で汗を流す日本の技術者たち。そのモットーは、人材育成を含めたトータルな技術支援だ。

60年ぶりに信号システムを一新

ミャンマー国鉄の中心となるヤンゴン中央駅は、完成した1954年の姿を今もほぼそのままに残している。駅舎は仏塔を思わせる4つの尖塔を持った3階建ての立派な建物。だが、築60年以上たっても全くといっていいほど手が入っておらず、老朽化が著しい。切符の販売も改札も、いまだに手作業で行われている。

ヤンゴン中央駅の駅舎

長距離路線の切符売り場に並ぶ人々

長距離路線の待合室

何もかも、時が止まったかのような中央駅。だが、ここのホームで迎えてくれた日本コンサルタンツ株式会社の松尾伸之さんは、線路を指差してこう言った。「これが日本の無償資金援助で導入された新しい転てつ機です。周囲をよく見て下さい。日本で見慣れた鉄道信号があちこちに設置されているでしょう。駅内の全てのシステムを更新しました。旧システムとの切り替えは、5月26日の夜に行いました」。

ヤンゴン中央駅に設置された新しい転てつ機などの信号システム

昔のままのホームに取り付けられた、新しい鉄道信号

駅舎の3階にある旧信号司令室には、役目を終えたばかりの巨大なポイント制御機が残されている。英ウェスチングハウス社製で、何十本ものレバーがずらっと並ぶ。ミャンマー国鉄の技師、ゾー・ミョー・サンさんは「以前はこの機械の前に4、5人の職員が並んで、司令役の指示を受けて手動でレバーを操作していました」と話す。レバー操作を電気信号に変えて実際のポイントが切り替わるという、60年前には世界最新鋭のシステムだったということだが、「何しろ老朽化で、電気系統のメンテナンスが大変でした」。

新システムは大型の液晶モニターを前に、2人の職員がコンピューターのマウス操作でポイントを制御する。中央駅のポイントは81カ所あり、日本の大宮駅や仙台駅と同規模。万が一操作のミスがあっても2つの列車が同じ線路に入ることのないようコンピューターが自動制御するため、ポイント事故の危険はなくなった。

60年以上も稼働して役目を終えたポイント制御機

新システムでポイントを制御するミャンマー国鉄の職員

駅舎の一室にはこのほか、職員のシステム習熟を図る「シミュレーター」が設置された。トラブル時の対応などを担当者がシミュレーターで繰り返し訓練できるほか、若手職員の研修に使われる。松尾さんは「新しいシステムを入れるだけではない。それを使う人たちの育成も含めて考えるのが、日本の技術支援の在り方です。機器の更新は中央駅にとどまらず、これからミャンマー全土に広がっていくはずですから」と話した。

この記事につけられたタグ:
  • [2018.07.26]
関連記事
このシリーズの他の記事

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • ニッポンドットコム・メディア塾 —ジャーナリストを志す皆さんに
  • シンポジウム報告