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シリーズ 日本のヤクザは今
福岡金塊事件の闇:海外マフィアが暴利むさぼる密輸ビジネス
[2018.01.16]

日本が金塊密輸ビジネスの温床になっている。福岡・博多で7億5800万円相当の金塊が盗まれた事件で2017年5月に逮捕されたのは、いわゆる「半グレ」と呼ばれる不良グループを中心とした10人だった。事前に金塊の取引情報を入手した彼らは、警官の職務質問を装って被害男性らを足止めし、白昼堂々と強奪を成功させた。極秘であるはずの取引情報はいったいどこからもたらされたのか。頻発する金塊事件を追うと、日本への金塊密輸を繰り返す海外マフィアの存在が浮かび上がってきた。

取引情報を事前入手、ピンポイントの犯行

九州・福岡で相次いで起きた金塊を巡る事件は、これまで隠されてきた「闇」の取引を白日の下にさらした。一つは2016年7月、JR博多駅近くの路上で警官を装った男らに金塊160キロ(7億5800万円相当)が盗まれた事件。そしてもう一つが17年4月、福岡市の繁華街、天神の中心部にある駐車場で、金塊取引のために銀行から引き出されたばかりの現金約3億8000万円が強奪された事件である。

前者の事件は発生から約10か月後の17年5月、名古屋を拠点とする不良グループを中心とする10人が逮捕された。後者の事件は10月末以降、関東や大阪を拠点とする複数グループの11人が逮捕された。ともに不良仲間の緩やかなつながりによる大がかりな犯行だった点が目を引く。だが、それ以上に注目すべきは、一般人にはなじみの薄い金塊取引を狙った事件だったということ、さらに、ともに犯人グループが事前に金塊の取引情報を入手しており、ピンポイントで犯行に及んでいたことだ。

「刑務所で知り合った人間から『税金対策のために事件を装って金塊を持ってきてほしい。相手側とは合意ができている』と持ち掛けられた」――。事件の発端となった取引情報について、博多駅近くの金塊強奪事件で逮捕された名古屋の不良グループの一人、中垣龍一郎被告(41)はこう供述しているという。

「被害者側も合意した芝居」と持ち掛け

福岡県警の捜査関係者が解説する。「中垣は、ムショ仲間から情報を得たと供述しているが、発生から5カ月ほどたった16年12月に事件が大きく報道されたときには、その情報源と連絡がつかなくなっていた。当局としては、もともとの情報の出所はさらに先があるとにらんでいるが、全体の構図はまだ把握しきれていない。2つの事件は、ともに情報提供者から『被害者側も合意した出来レース』と持ち掛けられたとみられ、おおもとの情報源が重なっている可能性もあります」。

中垣被告の情報は、事件を主導したリーダー格である不良仲間の野口直樹被告(43)と弟の和樹被告(42)にもたらされた。「相手側と合意ができているなら、警察は絶対に出てこないのか」「ヤクザのカネじゃないのか」と気にする野口被告らに対し、情報源は「ヤクザは絡まない。金塊は密輸品だから相手側も被害届を出せない。大丈夫だ」と説明し、納得させたという。

「ところが、実際に下見に行ってみると、現場は人通りの多い駅前。こんな場所で昼間に堂々とタタキ(強盗)なんて出来るわけがないだろう、ということになり、野口らは警官の格好をして職務質問をするふりをして盗むことにした。これが結果的に『平成の3億円事件』とも呼ばれる大胆な犯行となったのです。盗んだ金塊は90キロ分(約4億3000万円相当)を野口らのグループで換金して山分けし、残りの70キロ分は情報源に渡したとみられる。ここまでは計画通りだったんでしょう。それが数か月後に事件が報じられて表面化し、野口らは『被害届は出さない話だっただろ』と大慌てだったそうです」(捜査関係者)

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