シリーズ ビッグデータ新時代 進化する利活用
結婚支援でも成果出すビッグデータ:「えひめ方式」とは?
[2017.12.21]

少子高齢化が進む日本。男女とも生涯未婚率が過去最高に達し、歯止めがかからない状況の中、危機感を強めた自治体が「結婚支援事業」に乗り出している。その中で、お見合い支援にビッグデータを活用し、高い成果を上げているのが愛媛県の「えひめ結婚支援センター」だ。「えひめ方式」として全国から注目を浴び、同じシステムを導入する自治体も出始めた。

150万件の行動履歴を解析して活用

JR松山駅そばにあるえひめ結婚支援センター。記者が取材した数時間の間にも、次々と男女が訪れた。事務所の奥の部屋に設けられたブースにタブレット端末が置かれており、人目を気にすることなくお相手を検索できるのだ。

居住地域、年齢、身長など、自分の希望条件を入力してお相手を探す男性。出てきた女性を閲覧した後、あらためて画面右端の別のボタンをタッチした。「ビッグデータのおすすめの女性」。

すると、条件検索では出てこなかった数人の女性のデータが年齢などとともに示された。さらに「詳細」ボタンを押すと、女性の顔写真が出てきた。「会ってみたい」。男性の顔がほころんだ。

(上から)えひめ結婚支援センターの事務所内と、利用者が「お相手検索」するブースとタブレット端末(撮影・國府田英之)

同センターは、2008年に愛媛県から委託を受けて結婚支援事業を開始した。11年から1対1でのお見合い支援「愛結び」を始め、15年3月、登録者のべ1万4000人の登録情報をはじめ、どんな条件でお相手を探したか、だれに見合いを申し込んだか、何回失敗したかなど150万件にものぼる行動履歴のビッグデータを解析し、活用を始めた。

断られてからが始まり。増える「お薦め」

これまで誕生した夫婦は計435組。当初の4年間では177組だったが、ビッグデータ活用後の3年足らずで258組と数字が上がり、「えひめ方式」として全国から注目されている。

ビッグデータの活用を発案した岩丸裕建・同センター事務局長によると、これまでに茨城県や徳島県など14県がシステムを導入したほか、昨年は28の自治体や地方議会が視察に訪れた。また、中国やベトナムなど海外メディアの取材も受けたという。

民間の結婚相談所や婚活サイトなどでは、自分で条件を設定して好みの相手を探してお見合いを申し込んだり、婚活パーティーに参加したり、出会いを仲介する「サポーター」が、条件や共通の趣味などをもとに異性を薦めてくる。

センターもパーティーを主催したり、お見合いしたい相手を条件で検索したりする点では同じだが、ビッグデータによるお見合い支援は何が違うのか。岩丸さんは、「お見合いは、普通は申し込みを断られたらそこで話はおしまいですが、われわれのシステムでは『断られてからが始まり』なんです。そして断られる回数が増えるほど、利用者とマッチする可能性のある異性を、より多くリコメンド(お薦め)できるのです」と語る。

「他人の行動履歴」で本領発揮

いったいどういうことか、一例を見てみよう。男性Aさんが、条件検索で出てきた女性Bさんを気に入り、お見合いを申し込んだが断られてしまった。普通は、ここで話はおしまい。「俺はやっぱり駄目なのか」。Aさんはやけ酒でも飲んでショックを癒すしかない。

だが、ビッグデータが本領を発揮するのはここから。Aさんがこういうタイプの女性を好んだというデータを蓄積しつつ、解析するのは「他人の行動履歴」だ。

まず、利用者たちの中からBさんにお見合いを申し込んだことがあるなど、Aさんと女性の好みのタイプが似ている男性たちを探し出してグループ化する。そしてその好みの似た男性たちが、過去にお見合いを申し込んだ女性たちが抽出され、「Aさんの好みかもしれない女性たち」として第1に「お薦め」される。

同時に、この女性たちのグループと好みの男性のタイプが似ている別の女性グループが抽出され、さらにその中から、先ほどの「Aさんと好みの似た男性グループ」を好む女性たちがピックアップされる。この女性たちが「Aさんを好むかもしれない女性」として「お薦め」される。

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