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シリーズ 福島、元気です!
「世界で一番福島の食に詳しい料理人になりたい」——福島の「食」をぜいたくに体験する「一日一組」のフレンチ

野嶋 剛【Profile】

[2018.03.17]

ほとんどの食材を地元福島のもので提供する「HAGIフランス料理店」。オーナーシェフの萩春朋氏に福島食材にこだわる訳を聞いた。

東は太平洋に接し、広大な平野があり、西に行くと会津の山々。そんな自然に恵まれた福島は日本を代表する農業県であり、漁業県でもある。海のもの、山のものなどあらゆる食材がそろう。その福島の農漁業は、東京電力福島第1原発の事故によって大きく傷ついた。その復活を目指して、一人の福島人が始めた「福島県の食材による一日一組」のフレンチレストランが大評判を呼んでいる。

福島県いわき市。駅からタクシーで10分ほど走り、細い路地を抜けてたどり着いた住宅街のど真ん中に、その店はあった。夕暮れ後の暗闇に浮かび上がる明るい店の光をみて、「こんなところに店があるのだろうか」といささか緊張していた気分がほっと緩んだ。

「HAGIフランス料理店」(撮影:野嶋 剛)

「HAGIフランス料理店」のオーナーシェフ、萩春朋さんが玄関で待っていて、「遠いところをありがとうございます」と深々と頭を下げた。

この店で料理に出されるほとんど全ての食材が福島県の野菜や肉、魚であり、合わせるワインなどの飲料も福島のものだ。

テーブルに座ると、印字された紙が置かれていた。メニューかと思ったが、食材の一覧だった。

「いわきキジ」「会津産栗」「相馬せいこ蟹(かに)」「いわきワタリガニ」「いわき白菜」「郡山ひらたけ」「常磐沖車駅」「相馬太刀魚」「相馬氏白魚」「いわき卵」「いわき聖護院ダイコン」「相馬原釜港さば」「福島りんご」「いわきほうぼう」「相馬レモン」「いわきうなぎ」「鮫川村牛」「いわきにんじん」「いわきブロッコリー」「いわきさつまいも」「鮎川村ジャージー牛」「福島いちご」

福島の食材がずらりと並んでいることに圧倒された。店のパンフレットには「福島の食材は、私にとって世界一のブランド品。福島の里、山、海をつなぐ料理。料理人が福島の食材を守る」と書いてある。

一方でメニューはない。その日に手に入った食材に合わせて、萩さんが考えて毎日新しいメニューを作り出していく。料理より食材が優先、なのだ。料理がサーブされる度に、食材について詳しく書いた説明書きまで出てくる。

丁寧に記された食材一覧(撮影:野嶋 剛)

  • [2018.03.17]

ニッポンドットコム・シニアエディター。ジャーナリスト。1968年生まれ。上智大学新聞学科卒。在学中に、香港中文大学、台湾師範大学に留学する。1992年、朝日新聞入社。入社後は、中国アモイ大学に留学。シンガポール支局長、台北支局長、国際編集部次長等を歴任。「朝日新聞中文網」立ち上げ人兼元編集長。2016年4月からフリーに。現代中華圏に関する政治や文化に関する報道だけでなく、歴史問題での徹底した取材で知られる。著書に『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『故宮物語』(勉誠出版)等。オフィシャルウェブサイト:野嶋 剛

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