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シリーズ 福島、元気です!
台湾は日本を映す鏡——台湾の「核食」輸入問題から考える

栖来 ひかり【Profile】

[2018.04.08]

筆者は台湾が世界でも突出した福島産品への嫌悪を示す理由として、これまでの食品の安全性問題についての人々の疑念や、日本との心理的、現実的距離の近さに起因すると考える。

周囲から放射能を浴びに行くのかと言われた福島旅行

金襴緞子(きんらんどんす)を思わせる色とりどりの秋の錦の中、工芸細工のような鉄橋を電車が渡ってゆく。

JR東日本・只見線は、福島県会津若松市から新潟県魚沼市の小出駅までを結ぶ鉄道である。会津地方を中心に流れる只見川の渓谷を望み、紅葉や新緑の季節は殊に絶景スポットとして名高い。台北市に暮らす徐嘉君さんは、台湾の旅行雑誌でこの只見線の写真を見て、「絶対ここに行きたい!」と思ったそうだ。

嘉君さんは、台北市内でネイルサロンを開業している。オープンして8年、彼女の確かな技術と明るい人柄からか、いつも予約でいっぱいの人気のサロンだ。仕事柄、日本のおしゃれ情報にも敏感で、店内にはたくさんの日本の雑誌がある。日本への旅行回数はこれまで10回ほど、年に1度か2度のペースで出掛けている。

初めて福島を訪れたのは15年11月の紅葉シーズン。旅行計画を告げると、周りの人の反応はほとんどが「放射能を浴びに行いくの?」というものだった、と嘉君さんは振り返る。

「放射能汚染のことは、全く気になりませんでした。そもそも福島と一口に言っても、すごく広いことを皆知らない。会津若松は原発事故の起こった海沿いからかなり離れており、むしろ日本海側の新潟県に近い場所。何より、普通の人たちが普通に暮らしている場所に数日行ったところで、悪い影響が生じるとは思えなかった」

嘉君さんと友人の2人で東京から青森に行き、南下しながら福島の会津若松市に1泊、翌日に目的の絶景スポット「第一只見川橋梁」のある福島県大沼郡三島町を訪れ、それからまた東京へ戻る。目まぐるしいスケジュールの10日間で、県内に滞在したのは1泊2日だけだが、地元の方との交流もあり深い印象が残った。嘉君さんは、店の玄関に飾ってある「営業中」と書かれた手作りの紙看板を持ってきて見せてくれた。地元の方のプレゼントだそうだ。

「三島町で、奥さんが理髪店を経営する傍ら、ご主人がこういった手書きの看板を売っているお店を見つけました。お互い、すごく下手な日本語とすごく下手な英語でやり取りして、とっても楽しかった。三島は小さな町だけれど、旅行者に楽しんでほしいという工夫がいっぱいある」

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  • [2018.04.08]

台湾在住ライター。京都市立芸術大学美術学部卒。台湾人男性と結婚し、2006年より台湾在住。一児の母。日本の各媒体に台湾事情を寄稿している。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし』(2017年、玉山社)『山口,西京都的古城之美』(2018年、幸福文化)がある。 個人ブログ:『台北歳時記

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