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シリーズ 福島、元気です!
震災の痛手から立ち直る福島の「酒と湯」

野嶋 剛【Profile】

[2018.04.21]

福島の酒と湯は全国でも高いレベルにある。風評被害が続いているにもかかわらず、酒の海外輸出量は伸び続け、この地の湯を訪れる人は後を絶たない。今が旬の福島の酒と湯を紹介する。

湯と酒といえば、日本の旅の楽しみである。福島の酒は本当にうまい。そして、福島の湯は本当に気持ちいい。これは、無理に福島を持ち上げようとして言っているわけではない。本当に、福島の湯と酒は、日本全体でも、高いレベルにある。

福島は金賞を受賞した酒蔵が一番多い県

まずお酒について語りたい。いま福島の日本酒がとてもおいしいということは、およそ日本酒好きの間ではよく知られたことだ。東京電力福島第一原発事故の直後、一時期、東京などでは「福島のお酒があったら福島を応援するために注文しよう」という考え方が広がった。しかし、実際のところは、応援するという考えなど必要がないほど、福島の酒は高く評価されている。

「全国新酒鑑評会」のポスター(提供:福島県酒造協同組合)

何しろ、日本で最も権威のある日本酒新酒鑑評会で、5年連続で金賞を受賞した酒蔵が一番多い県になっているのだ。

この日本酒新酒鑑評会は、日本酒の出来栄えを蔵ごとに競い合うもので、昨年は発表された金賞酒242点のうち、都道府県別では福島県の22点が宮城県、秋田県などを抑えて、もっとも多かった。

5年連続1位という栄誉について、新城猪之吉・福島県酒造組合会長は「大変うれしいことだが、まだまだ福島県の売り上げ状況は厳しく、風評被害は続いている」と語った。

福島における日本酒の生産量は既にに震災前よりも大きなものになっている。風評被害があるにもかかわらず、海外への輸出量も着実に伸びている。それは福島の日本酒が優れているからに他ならない。

福島の日本酒は10年前までは決して全国レベルで高く評価されるものではなかった。むしろ、「酒造後進県」と思われていた。その状況を逆転させたのは、福島県を挙げて酒造関係の研究所をサポートしておいしい酒を造り出すもとになる酵母を開発し、また、現在のトレンドである純米酒に力を注ぐなどのムードを高めてきたことだ。

福島の日本酒の躍進は、酒造に適した寒冷な気候がある会津地方の酒造が中心ではあるが、福島県二本松市にも「大七酒造」など、生酛(きもと)造りという伝統的で特殊な酒造方法を守っている酒蔵もあり、日本だけではなく、世界でも人気を集めている日本酒の中で「Fukushima」は称賛の対象になりつつある。

「大七酒造」の酒(撮影:野嶋 剛)

  • [2018.04.21]

ニッポンドットコム・シニアエディター。ジャーナリスト。1968年生まれ。上智大学新聞学科卒。在学中に、香港中文大学、台湾師範大学に留学する。1992年、朝日新聞入社。入社後は、中国アモイ大学に留学。シンガポール支局長、台北支局長、国際編集部次長等を歴任。「朝日新聞中文網」立ち上げ人兼元編集長。2016年4月からフリーに。現代中華圏に関する政治や文化に関する報道だけでなく、歴史問題での徹底した取材で知られる。著書に『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『故宮物語』(勉誠出版)等。オフィシャルウェブサイト:野嶋 剛

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