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アベノミクスの「成長戦略」(日本再興戦略)

政治・外交

秋の臨時国会が10月15日に召集される見通しだ。安倍晋三首相は、今回の臨時国会を「成長戦略実現国会」と位置づけ、アベノミクスの「成長戦略」に欠かせない産業競争力強化法案(仮称)の成立などをめざす。

政府・与党は、秋の臨時国会を2013年10月15日に召集する方針だ。2014年度(平成26年度)予算編成をにらみ、会期は12月上旬までとする方向である。

安倍晋三首相は、今回の臨時国会を「成長戦略実現国会」と位置づけ、継続審議となっている国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案などとともに、アベノミクスの「成長戦略」に欠かせない産業競争力強化法案(仮称)の成立や投資減税の決定などをめざす。

6月に閣議決定されたアベノミクスの3本目の矢である成長戦略(日本再興戦略)では、1)日本産業再興プラン、2)戦略市場創造プラン、3)国際展開戦略――の3つのアクションプランを示し、具体的な諸施策や成果目標を打ち出している。

安倍内閣は10月1日、来年4月からの消費税率引き上げ(5%→8%)を発表し、同時に景気の腰折れを避けるため経済対策も打ち出す方針を明らかにした。野党側は、こうした安倍内閣の一連の経済政策や東京電力福島第1原発の汚染水漏えい問題などについて、政府を追及する構えだ。

アベノミクスの「成長戦略」(日本再興戦略)

「成長戦略」の考え方と目標 ・日本経済の再生に向け、3つの政策を「3本の矢」として展開 → 1)大胆な金融政策、2)機動的な財政出動、3)民間投資を喚起する成長戦略
・これらの政策で長期デフレから脱却 → 今後10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度を実現
・1人当たり名目国民総所得(GNI) → 10年後に150万円以上アップ
 分野「日本再興戦略」に盛り込まれた主な成長目標
民間企業活力の復活 ・投資減税で法人負担軽減→民間の力を最大限引き出す
・設備投資:今後3年間で年70兆円を回復
・企業の開・廃業率:米・英並みの10%台へ
・黒字中小・小規模企業数:70万社→140万社へ(2020年)
・今後5年間で新たに1万社の海外展開実現
ビジネス環境整備 ・「国家戦略特区」の創設:世界から投資を引き込む
・ビジネス環境ランキング:先進国15位→3位以内めざす
・外国人医師が日本で医療活動ができるよう制度の見直し
・金融・資本市場を活性化:アジアNo1の市場構築
通商の拡大、グローバル化推進 ・貿易のFTA比率:現在の19%→70%へ(2018年)
・インフラ受注額:官民一体で約10兆円→約30兆円へ(2020年)
・中堅・中小企業の輸出額:2020年までに2010年比倍増
・クールジャパン推進:放送コンテンツの海外売上高を現在の63億円から3倍へ(2018年)
・訪日外国人旅行者:2013年1000万人→2030年3000万人超へ
農林水産業を成長産業に ・農林水産物・食品輸出額:現在の4500億円→1兆円へ(2020年)
・6次産業市場規模:現在の10倍の10兆円へ(2020年)
・農業・農村全体の所得:今後10年間で倍増
雇用・女性・人材育成 ・失業期間6カ月以上の人:5年間で2割減
・女性の就職率(25-44歳):現状の68%から73%へ(2020年)
・世界の大学ランキング:今後10年間でトップ100に10校以上ランクイン
・世界と戦える人材育成:2020年までに留学生を倍増(6万人→12万人)
エネルギー産業を育成 ・エネルギー産業の育成:2020年までに約26兆円の市場獲得
・電力システム改革:約16兆円の新規産業・雇用創出
・再生可能エネルギー導入:そのための規制、制度改革を図る
・未来のエネルギーとなる海洋資源を商業化
健康・医療産業の拡充 ・健康予防関連市場の拡大:現在の4兆円から2020年に10兆円へ
・医療関連産業の市場規模:現在の12兆円→16兆円(2020年)に
・医療研究開発の司令塔「日本版NIH(国立衛生研究所)」の創設
・一般医薬品のインターネット販売解禁

6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」を基にnippon.com編集部が作成

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