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都市部で顕著な気温の上昇

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日本の観測史上最高気温は41.0℃。2013年8月12日、高知県の四万十市で6年ぶりに記録を更新した。「年々上昇している」と言われる日本の気温について、データをまとめた。

世界平均より大きい日本の気温変化

地球温暖化などの影響で、世界の年平均気温は100年あたり0.68℃の割合で上昇しているといわれる。(出典:気象庁『気候変動監視レポート2012』)日本の平均気温も変動を繰り返しながら上昇しており、100年あたり1.15℃の割合で上昇している。

気象庁は都市化の影響が比較的少ないとみられる全国の17観測地点(北は北海道帯広市から南は沖縄県石垣島まで)を選出し、平均気温の検査を算出。それによると、季節別にはそれぞれ100年あたり、冬が1.15℃、春が1.30℃、夏が1.02℃、秋が1.17℃の割合で上昇している。

下図は、日本の大都市における気温のデータ。温暖化に加え、ヒートアイランド現象など都市部特有の事情が重なって、上昇量はより高くなっている。大都市では100年前に比べ、夏よりも冬の上昇量が大きくなっている。特に東京の上昇量は3.0℃と、他都市と比較しても突出している。

日本の主要都市における気温

 2013年の平均気温100年あたりの上昇量2013年1月の平均気温同上昇量2013年8月の平均気温同上昇量
札幌 9.2 2.30 -4.7 3.00 23.1 1.20
仙台 12.7 2.20 0.7 3.30 25.6 0.20
東京 17.1 3.00 5.5 3.80 29.2 2.41
横浜 16.6 1.74 5.4 2.41 28.4 1.22
名古屋 16.4 2.70 4.0 3.40 29.3 1.80
京都 16.2 2.60 3.9 3.00 29.2 2.20
福岡 17.7 2.60 6.1 1.90 30.0 2.10

(気象庁、国土交通省などの資料を基に作成。単位:℃)

真夏日増加し、冬日は東京でほぼゼロに

東京都環境局などによると、東京の夏場の最高気温が30℃を超える日(真夏日)は近年増加傾向が明らか。平年は48.5日だが、この10年間(2004-2013年)で平年以下の年は冷夏だった2006年、2009年だけ。2010年には史上最多の71日を記録した。

熱帯夜(最低気温が25℃より下がらない日)の日数は、1970年代には平均すると年15日ほどだったが、近年は40日を超えている。

一方、冬日(最低気温が0℃未満の日)の日数は、この50年で劇的に減少した。1960年代には平均して年30日ほど、年によっては40日を超えることもあったのに対し、近年では10日を超える年がほとんどない。2003-2004年、2006-2007年、2008年-2009年の冬(主に12月-3月)は、東京では冬日ゼロを記録している。(気象庁調べ)

ヒートアイランドで熱帯夜に。熱中症の危険が増大

高温化で懸念されているのが、夏季における熱中症患者の増加だ。東京都によると、2000年には年412人だった都内の患者数が、2013年には4517人と10倍以上になった。熱中症による死亡は、真夏日・熱帯夜の日数と相関関係があるという研究報告もある。総務省消防庁によると、熱中症で救急搬送された患者の約4割が入院。年齢別では救急搬送車の約4割が65歳以上の高齢者で、約1割が乳幼児を含む子ども(18歳未満)だった。

ヒートアイランド現象は①エアコンや車の排熱量増加、②建物の集中、③地表の人工物増加や緑地の減少――などにより、都市中心部の気温が突出して高くなる現象。年間を通じて起きているが、特に夏季の気温上昇が都市生活の快適性をそこなうとして問題となっている。道路のアスファルトが日中に吸収した熱を夜に放出するので、夜間・早朝にも気温が下がらず熱帯夜の増加につながっている。

日本の気温に関する歴代1位の記録

最高気温
41.0℃ 2013年8月12日 江川崎(高知県四万十市)

最低気温
零下41.0℃ 1902年1月25日 北海道旭川市

最も低い日最高気温
零下22.5℃ 1909年1月12日 北海道旭川市

最も高い日最低気温
30.8℃ 1990年8月22日 新潟県糸魚川市

東京では2013年8月11日、最低気温が30.4℃までしか下がらず、日本の観測史上第2位となる「超熱帯夜」に。未明の気温は30.9℃で、ほぼ丸一日経過した同日深夜になっても30度を下回らなかった。最高気温は38.3℃(東京の歴代第5位)で、記録的な暑さの一日となった。

タイトル写真:39℃近い猛暑の中、汗を拭う子ども=2013年8月10日午後、埼玉県熊谷市(時事)

 

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