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2016年参議院議員選挙 与野党の主張

政治・外交

第24回参議院議員選挙(7月10日投開票)が、6月22日に公示され、本格的な選挙戦がスタートする。

「アベノミクス」、憲法改正など争点に

参院の定数は242。今回半数の121議席が改選される。地域を単位とする選挙区で73議席、全国単位の比例代表で48議席が選ばれる。

自民、公明両党の非改選議席は76で、今回46議席を得れば、与党が全議席の過半数(122)を維持する。自民党が57議席を獲得すれば、27年ぶりの単独過半数となる。安倍晋三首相は、勝敗ラインを「与党で改選議席の過半数(61)」としている。

安倍首相が在任中の実現を目指す憲法改正の発議には、定数の3分の2(162議席)が必要。与党に加え、おおさか維新の会などの「改憲勢力」が78議席を得ると、このラインに届く。民進党の岡田克也代表は、「改憲勢力の3分の2阻止」を掲げるほか、「与党の改選過半数阻止」も目標に据えた。

今回の参院選から、選挙権年齢がこれまでの「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる。各党は、18~19歳の有権者約240万人へのアピールにも力を入れる。

与野党9党首は21日、日本記者クラブ主催の討論会に出席し、安倍政権の経済政策「アベノミクス」、憲法改正などをめぐって論戦を繰り広げた。主な争点に関する各党首の発言をまとめた。

自民党・安倍晋三総裁

経済・財政 アベノミクスは成果を出してきた。消費増税再延期は、新たな危機に陥るのを回避するため。デフレを脱却し、経済を成長させ、税収を増やすことが社会保障の安定財源確保につながる。
憲法・安全保障 憲法改正を争点としないとは言っていない。条文をどう変えるかを決めるは国民投票だ。国会の憲法審査会で冷静に議論して、(改正案を)国民に問うべき。
原発 福島原発事故は深刻に受け止める。しかし、安価で安定的なエネルギー供給も必要。できる限り原子力依存は低減するが、現段階ではゼロにはできない。

民進党・岡田克也代表

経済・財政 (安倍政権の)経済政策は行き詰っている。一人一人が豊かになっておらず、安心して生活できていない。(民進党は)分配と成長を両立する経済政策を訴える。人への投資、所得再分配、働き方改革を行い、持続的な経済に転換する。
憲法・安全保障 憲法の平和主義が変えられようとしている。違憲の疑いがある安保法、憲法9条改正を認めるわけにはいかない。

公明党・山口那津男代表

経済・財政 アベノミクスの成果が十分に及んでいないところに希望を広げていきたい。社会保障、保育・介護の基盤整備、女性・若者活躍への取り組みを充実させる。雇用・働き方改革を行い、非正規雇用と正規雇用の差を縮める。
憲法・安全保障 憲法改正は政府の課題ではなく、立法府の課題。行政府を構成する与党の責任ではない。国会での議論を深める。

共産党・志位和夫委員長

経済・財政 アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困を是正する。
憲法・安全保障 安保法を廃止し、憲法改定を阻止する。自衛隊は違憲で、将来は段階的廃止を目指すが、現在の問題はすぐに自衛隊を廃止するかどうかではなく、自衛隊を海外に出していいのか、ということだ。

おおさか維新の会・片山虎之助共同代表

経済・財政 (国会議員自身の)身を切る改革、徹底した行政改革を行う。国会の定数を削減する。増税は行わない。
その他 被選挙権を18歳に引き下げる。インターネットで投票できるようにすべき。

社民党・吉田忠智党首

経済・財政 若者の居場所と希望を作り出す。ブラック企業、ブラックバイトを根絶する。
憲法・安全保障 憲法改悪を阻止する。平和憲法を生かし、戦争しない国を目指す。辺野古(沖縄県名護市)の新基地建設も阻止する。
原発 脱原発社会を実現する。

生活の党と山本太郎となかまたち・小沢一郎代表

経済・財政 国民生活安定と将来不安解消のため、雇用の正規化、最低保障年金の創設、国民皆保険の堅持、子ども手当の実現などを目指す。
憲法・安全保障 憲法の理念を堅持し、国際紛争の解決は国連中心主義をとる。

日本のこころを大切にする党・中山恭子代表

経済・財政 経済成長路線をとり、1人当たり個人所得を増やす。積極的な財政出動が必要で、公共事業を全国津々浦々に行う。
憲法・安全保障 あらゆる手段を投じて、平和を維持する。

新党改革・荒井広幸代表

経済・財政 アベノミクスを成功させて、格差を是正していく。
憲法・安全保障 安保法案審議では、自衛隊海外派遣の国会事前承認ルール作りに貢献した。
原発 脱原発を目指す唯一の保守政党。(政府は)原発再稼働に逃げ込むべきではない。
バナー写真:日本記者クラブ主催の討論会で握手する与野党9党首=2016年6月21日、東京都千代田区(時事)

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