2017年経常黒字21.9兆円 過去2番目の高水準
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財務省が発表した2017年の国際収支状況によると、海外との総合的な取引状況を表す経常収支は21兆9514億円の黒字となり、黒字幅は07年に次ぐ過去2番目の高水準になった。
1)海外の投資先からの収入増 2)訪日外国人の増加--などが引き続き影響した。
2017年の国際収支状況
(単位億円) | (前年比%) | |
---|---|---|
経常収支 | 219,514 | 104.2% |
貿易収支 | 49,554 | 89.8% |
輸出 | 772,855 | 111.9% |
輸入 | 723,301 | 113.8% |
サービス収支 | -7,257 | 64.3% |
第1次所得収支 | 198,374 | 105.4% |
出所:財務省統計から作成
経常黒字は2010年(19.3兆円)以降減少し14年に過去最小(3.9兆円)を記録したが、15年には5年ぶりに反発しその後順調に増加している。2011年の東日本大震災前は貿易黒字が経常黒字をけん引してきたが、震災後は海外への証券投資や海外子会社からの配当金、旅行収支の改善などが支える構造変化が続いている。
17年の経常収支のうち、貿易収支は4兆9554億円の黒字。前年(5兆5176億円)に比べ減少したものの2年連続で黒字を維持した。輸出は半導体など製造装置や自動車、鉄鋼が伸び、77兆2855億円(前年比11.9%増)。輸入は原油、石炭などエネルギー関連増などにより72兆3301億円(同13.8%増)と輸出を上回る伸びを示し貿易黒字の頭を抑えた。
サービス収支、黒字化も視野に 旅行と知財が2本柱
これに対してサービス収支は7257億円の赤字。赤字額は35.7%と大きく減った。サービス収支の赤字は1996年(67兆円)から長期的な縮小傾向を続けており、ついに1兆円割れしたことで黒字化が視野に入ってきた。
サービス収支の赤字縮小を主導したのが1兆7809億円と3年連続の黒字を達成した旅行収支だ。同年の訪日外国人数は2869万人と過去最高を更新し、黒字が大きく拡大した。
特許使用料などから成る知的財産権等使用料も2兆2905億円となり3年連続の2兆円台で旅行収支との2本柱として支えた。
日本企業による海外証券投資や海外子会社からの配当金等を含む第1次所得収支は直接投資収益の拡大等により19兆8374億円(前年比5.4%増)の黒字と黒字幅を拡大。20兆円の大台回復はならなかったものの、経常収支の黒字構造を支えた。
写真: 財務省