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育児と介護が同時にやってくる「ダブルケア時代」: ソニー生命調査

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高齢化、晩婚化、晩産化が進み、育児と介護を経験する時差が短くなっている。ダブルケアに直面する人の4分の3は公的サービスが十分ではないと感じている。

「子どもが生まれて育児に追われ、やがて、親が年老いて介護が必要になる」――かつては、中長期のスパンで起こったライフイベントが、いっぺんに訪れる「ダブルケア」のケースが増えつつあるという。高齢化、晩婚化、晩産化が進む中で、育児と介護を経験する時差が縮まっているためだ。

ソニー生命保険(本社東京)と相馬直子横浜国立大学大学院教授、山下順子ブリストル大学(英国)上級講師が全国規模で実施した調査(1万7049人を対象)では、「現在ダブルケアに直面」が12.3%、「過去にダブルケアを経験」12.8%、「過去にも経験があり、現在も直面中」4.0%で、約3割がダブルケア経験者だった。

その中からダブルケア経験者1000人を抽出して、育児と介護のどちらが先に始まったかを聞いたところ、「育児が先」が82.1%、「介護が先」11.5%、「同時」が6.4%で、育児期間中に親・義親の介護が必要となり、ダブルケアラーとなった人が多い。

年代別に見ると、30歳代は「介護が先」が19.6%、「同時」が7.2%と、40歳代、50歳代と比べて育児先行率が低くなっている。調査報告書では、「今後、さらに晩婚化、晩産化が進めば、ダブルケアラーとなる人が増える」と分析している。

また、ダブルケアに現在直面中の人で仕事に就いている人436人のうち、「現在の職場は、ダフルケアと仕事が両立しやすい」と答えた人は64%、「しづらい」と答えた人が36%だった。

男女別で「両立しづらい」と答えた人の割合を見ると、男性は44.7%で、女性21.1%の倍以上。役割分業意識が強い日本では、男性が育児や介護のために残業をせずに定時に帰ったり、時短勤務を利用したりすることが難しい雰囲気があるものと考えられる。年代別では、男女ともに40代が最も両立しづらさを感じていた。

「ダブルケアを理由に仕事を辞めた経験がある」人は全体の10%で、その理由(複数回答)としては「子どもが保育園に入れずに両立できない」36%、「職場が両立しにくい環境」30%、「親が介護施設に入れず両立できない」27%などだった。

また、ダブルケアをする人にとって公的サービスは十分か聞いたところ、公的介護サービス、公的子育て支援サービス共に、「あまり十分でない」「十分でない」の合計が約3/4に達した。

総務省が2018年7月に公表した「就業構造基本調査」によると、2017年9月までの1年間に介護や看護のために離職した人が9万9100人(うち女性7万5100人)に上った。前回12年調査の10万1100人からは減少しているものの、依然、高水準だ。政府が掲げる女性が活躍できる社会を実現するには、介護離職対策はもちろんのこと、介護と育児のダブルケアラーの存在にも配慮した対策が求められる。

バナー写真 : PIXTA

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