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水の使用量減少が引き起こす難題:古い水道管の更新が進まない

社会

日本人1人あたりの1日の水使用量は、ピーク時の322リットルからは減少して、2015年度は284リットルだった。節水し、水資源を有効に使うのは重要なことだが、水道事業者にとっては料金収入の減少という切実な事態となっている。

日本人1人あたりの生活用水使用量は、1965年度には1日169リットルだったが、1995年度には322リットルとなり、30年間でほぼ倍増した。高度経済成長期は、水洗トイレ、電気洗濯機、シャワー付きの風呂が一般家庭に普及し、ふんだんに水を使うことが豊かなライフスタイルの象徴となった。

しかし、1994-95年にかけて西日本を中心とする大規模渇水が発生したことをきっかけに、人々の間に節水行動が徐々に定着。水洗トイレや温水洗浄便座、洗濯機などの水回り商品は、節水機能を競うようになった。2015年度の1人あたりの1日の水使用量は284リットルだった。

水使用量の減少は、水資源が大切に使われていることの証し……である一方で、水道事業者にとっては料金収入の減少につながる死活問題でもある。さらに、人口減社会に突入している日本では、給水量の減少が続くと考えられる。

一方で、高度経済成長期に整備された水道管は、法定耐用年数の40年を超え、更新時期を迎えている。ところが、給水減により経営状態が悪化した水道事業者は、更新のための費用をねん出できず、耐用年数を超えた水道管を使い続ける例が増えている。40年を超えた水道管を使い続ける「経年化率」は2016年度に14.8%に達したが、管路の更新率は低位での横ばいが続いている。このままの更新率では、全ての管路を更新するのに130年を要する計算だと言う。

2018年6月18日に発生した最大震度6弱の大阪北部地震では、水道管の破損による水漏れ、断水が各所で発生し、大阪市、高槻市、吹田市などで20万人以上に影響を及ぼした。大阪府の水道管の経年化率は28.3%(2015年度時点)で、全国ワースト1位。全国平均のほぼ2倍だ。

今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起こる確率は、人口集中地帯でもある首都圏、東海圏、関西圏の太平洋岸で高くなっている。都市インフラの中でも重要性の高い水道管の更新は日本全体にとって大きな課題である。

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