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土砂災害、毎年1000件ペース:自治体防災訓練の参加者が急増

社会

日本の国土は4分の3が丘陵と山地で、平地部分は地盤が弱い。さらに、降水量が多いために、毎年平均1000件の土砂災害が発生している。

日本は国土の面積の4分の3を丘陵と山地が占め、河川の堆積作用で形成されたぜい弱な地盤の小規模な平野が海外線に沿って存在する。しかも、降雨(降雪)量が多く、土砂災害のリスクと常に隣りあわせだ。

国土交通省のまとめによると、2017年の土砂災害発生件数は1514件で、死者・行方不明者24人、人家被害701件だった。また、2000年以降の件数を平均すると、毎年1000件程度の土砂災害が発生していることになる。

国土交通省は2006年から住民参加型の土砂災害・全国防災訓練の実施を各自治体に呼び掛けている。梅雨入りで土砂災害の危険が高まる6月を土砂災害防止月間と定め、豪雨や台風に備えるものだ。

取り組みを始めた06年の参加者はわずか9000人で、その後もしばらくは参加が伸び悩んでいた。14年8月20日未明に広島県北部で局地的に降った豪雨による土石流で75人(災害関連死1人を含む)が犠牲になったことをきっかけに、土砂災害への防災意識が一気に高まった。

15年は訓練参加者が56万9000人と前年と比べて2.6倍に急増。17年7月には九州北部豪雨が発生し40人の犠牲者が出たことも影響し、過去最高の参加者を記録した。18年も5月時点で既に117万人を超えている。7月に発生した西日本豪雨で犠牲者が220人にも上ったことから、一段と関心は高まっており、通年での参加者は200万人を超えると見込まれている。

こうした住民参加型の防災訓練が災害に役立ち、被害を軽減させた事例も報告されている。福岡県東峰村は17年6月に住民の約半数にあたる1050人が参加し、実践的な訓練を実施。翌7月の九州北部豪雨の際には、土石流が発生する前に多くの住民が避難を終え、人的被害を最小限にとどめた。

土砂災害は中山間地域で起きやすいというイメージが強いが、14年8月の広島北部豪雨では住宅地の裏山が崩れて大きな被害を出した。土砂災害を免れることができない国土・気候である以上、過去の教訓に学び、安全を確保し、被害を小さくする努力が必要だ。

バナー写真 : 2014年8月に広島市北部で発生した土砂災害(時事)

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