タクシー利用客、バブル期の半分以下に:企業の利用減少、残業しない風潮も逆風?
社会
バブル華やかなりし頃は、「深夜までの残業」「取引先の接待」と理由をつけて、会社が支給してくれるタクシー券で帰宅する会社員が珍しくなかった。あれから30年… タクシー輸送人員は半分以下にまで減少している。
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バブル経済真っ盛りの1989年度、全国のタクシー年間輸送人員は33億人を超えていた。銀座や六本木など深夜の繁華街は、終電など気にせず、勤務先から支給されるタクシーチケットを使って家路につく社用族であふれかえり、タクシーを捕まえるのが難しい時代だった。
その後、バブル経済が崩壊、景気の低迷とともに、輸送人員は下降の一途をたどった。2000年代初頭には一時的に下げ止まったものの、2008年のリーマンショックで景気が冷え込むと、再び、タクシー利用は大きく減少。企業収益が回復しても、経費節約は解除されることなく、近年は、「働き方改革」として企業が残業を抑制する傾向が強まっていることも、タクシー業界には逆風となっている。2016年度の輸送人員は14億5200万人と、1989年の44%まで落ち込んでいる。その一方で、タクシーの車両数は89年から10%ほどしか減っていない。深夜の繁華街では、客を待つタクシーが長い行列を作る。
輸送人員の落ち込みになんとか歯止めを掛けようと、新しい取り組みも始まっている。東京23区と武蔵野市、三鷹市では2017年1月30日から料金体系を大幅に変更。初乗り料金を従来の「2キロまで730円」から、「1.052キロまで410円」とすることで、「ちょっとデパートまで」「ここまできたから、ついでにあそこにも」といった「ちょい乗り」需要を喚起する狙いだ。また、訪日観光客が増加していることから、外国人ドライバーの採用を強化しているタクシー会社もある。
バナー写真:客待ちをするタクシーの行列(時事)