化石燃料、中東依存から抜け出せない資源小国ニッポン : 原油の3割以上はサウジから
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資源エネルギー庁の総合エネルギー統計によると、日本の2016年度の一次エネルギーの国内供給構成は、石炭25.4%、石油39.7%、LNG(液化天然ガス)23.8%で、88.9%を化石燃料に依存していた。
もともと資源小国である日本は、1970年代に2度のオイルショックを経験し、「化石燃料に頼りすぎない社会」を目指そうとエネルギー源の分散を進めてきた。その柱となったのが、原子力発電の推進であり、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出して加工し、ウラン燃料の代替として使うプルサーマル計画により、「準国産エネルギー」を有効活用することを目指していた。
しかし、2011年の東日本大震災を契機に国内全ての原発が運転を停止。審査基準の厳格化や、地元の反対などの理由で、7年半を経た18年10月1日の時点で再稼働した原発は5原発9基に過ぎない。その穴を埋めているのが、火力発電だ。
原油の輸入先を見ると、トップ5に中東諸国が名を連ねており、原油の中東依存度は86%を超える。中でも、サウジアラビアは35.7%と群を抜く。LNGに関しても、輸入量の2割は中東に依存する。
東日本大震災という想定外の出来事があったにしても、1970年代から模索してきた、脱化石燃料、脱中東依存は40年以上かけてほとんど進んでいないことになる。日本は、エネルギー安全保障の観点から、中東の産油国をはじめとする資源供給国と良好な関係の構築を目指しているが、ひとたび、中東情勢が混迷すれば原油価格上昇などで日本経済に深刻な影響が及ぶリスクと常に隣り合わせだ。
一方で、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定は、温暖化ガスを排出する化石燃料の使用を抑え、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへ舵を切るよう求めている。これが実現すれば、長年の課題であった化石燃料依存、中東依存を克服し、エネルギー自給率も高まることになるが、日本は再エネルギーの発電コストが高止まりしているために、再エネへのシフトも思うように進んでいない。
バナー写真 : 横浜火力発電所 / PIXTA