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平成最後の年賀はがき、発行枚数は平成最低?:一等賞品、ミシンから現金30万円へと変遷

社会

携帯電話の普及、SNSの流行とともに、年賀はがきの発行枚数は漸減している。平成最後の年賀はがきは平成最低の発行枚数になりそう…。

日本郵便が11月1日に発売した2019年用「お年玉年賀はがき」の当初発行枚数は前年比7.2%減の24億21万2000枚(需要に応じて追加発行の予定)。お年玉年賀はがきは04年用の44憶6000万枚をピークに減少基調をたどっている。携帯電話の普及に伴い、年賀状の代わりに「おめでとうコール」で済ませるようになったり、最近はSNSで新年のあいさつを交わす人も増えているためだ。19年5月1日の新天皇即位で元号が改まるため、今回は平成最後の年賀はがきになるが、発行枚数は平成で最低となるかもしれない。

官営事業として近代郵便制度がスタートしたのが1871年(明治4年)。その2年後の1873年に郵便はがきの発行が始まると、手軽な賀詞交換の方法として、はがきが使われるようになった。1881年(明治14年)の「中外郵便週報」の記事には、はがきで年始の祝詞を交換する風習が年々盛んになってきているため「郵便局員は徹夜して、其(そ)の事務を勤労す」と記述があり、流行ぶりがうかがえる。

現在のようなくじ付きの年賀はがきの販売が始まったのは戦後間もない1950年用から。戦後の混乱の中、消息を確かめ合い、くじ付きにすることで小さな楽しみを届ける意味合いがあったようだ。第1回目の賞品はミシン、純毛洋服地、学童用グローブ、学童用こうもり傘など。一等商品は、時代に応じて洗濯機、テレビ、電子レンジ、ハワイ旅行などと変遷。2014年用で初めて「現金1万円のお年玉」が登場した。19年用の一等は「現金30万円」など。新元号最初の年となることを記念して、通常は1回のお年玉くじの抽選を2回(2回目は4月20日)実施する。

年賀はがきのデザインには毎年、遊び心のある趣向が凝らされている。例えば、通信面無地・インクジェット紙のものは、切手部分の「富士山を駆け上がるイノシシ」と、消印部分の「松と竹」のイラストにそれぞれ干支の「亥(イノシシ)」の文字を織り込んでいる。くじ番号の背景もよく見ると極小の「亥」の文字で構成されている。

1996年発行「年賀状の歴史と話題」(郵政研究所付属資料館)などの資料を参考とした。

バナー写真 : PIXTA

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