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働きすぎ!先生の平均勤務時間は11時間17分:現場は「増員」望むも、実現せず

教育 社会

厚生労働省の過労死等防止対策白書で学校の先生の過重勤務の状況が明らかになった。現場では増員を望むが、校長は増員には極めて消極的。

厚生労働省の2018年版「過労死等防止対策白書」によると、小中高の学校で働く教職員の1日の平均勤務時間は11時間超となった。担任業務に加えて保護者への対応、部活動の指導といった多くの業務をこなさなければならず、長時間労働が常態化している実態が浮かび上がった。

白書は国の過労死対策の議論の土台となるもので、16年度に初めて策定された。今回は特別に調査する重点業種として、近年過労が指摘されている「教職員」「医療」などの労働実態を分析した。

調査で有効回答を得た教職員3万5640人の1日の平均勤務時間(通常期)は11時間17分で、中学校が11時間37分と最も長かった。職種別では、副校長・教頭が12時間33分と最長で、続いて主幹教諭が11時間47分、教諭11時間30分の順となった。残業の理由(複数回答)は「自身が行わなければならない業務量が多い」が69.6%と最多で、次いで「予定外の業務が突発的に発生するため」53.7%、「業務の特性上、その時間帯でないと行えない業務があるため」48.9%の順となった。

過重勤務の防止に向けて必要だと感じる取組について教職員に聞いたところ、「教職員の増員」が78.5%と圧倒的に多く、「複数担任制の導入」「校務の複数担当制の導入」「部活動指導員など支援スタッフの活用」など分担できる体制を整えることに対する希望が多かった。

ところが、学校長が過重勤務防止のために取り組み始めたことは「会議時間短縮」「管理職からの声掛け」などカネも人手もかからないものが中心で、人件費増につながる項目については、極めて消極的だった。

業務に関連したストレスや悩みの有無については80.7%が「ある」と回答。その内容については、「長時間勤務の多さ」が43.4%と最も多く、次いで「職場の人間関係」の40.2%、「保護者・PTA 等への対応」の38.3%の順となった。

バナー写真 : PIXTA

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