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国宝の大仏殿に安置される奈良大仏と500年以上も風雨にさらされてきた鎌倉大仏

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奈良と鎌倉の大仏。どちらもどっしりと座した姿が印象的だが、並べてみるとずいぶんと大きさが違う。 

「大仏」は文字通り、大きな仏像のこと。仏教伝来以降、国家安寧や君臣豊楽などを願って数々の大仏が建造されてきた。しかし、「大仏さま」と聞いて多くの日本人が思い浮かべるのは、奈良と鎌倉の大仏。どちらも、ゆったりと座した姿が印象的だが、大きさを比べてみると、奈良の大仏の方が一回り大きく、体重は2倍もある。

東西大仏の大きさの比較

奈良 鎌倉
総高(台座を含む) 18.03m 13.35m
仏神高(大仏本体) 14.93m 11.31m
面長 5.33m 2.35m
螺髪高 0.21m 0.18m
螺髪数 492個 656個
仏体重量 250トン 121トン

高徳院ウェブサイト、奈良観光協会サイトを参考に作成

奈良大仏(東大寺本尊・毘盧遮那仏像=国宝)

政変や反乱による社会不安や、疫病の流行や自然災害による被害を仏法の力によって抑えようと、聖武天皇が大仏の造営を発願。752年(天平勝宝4年) に開眼供養会(仏に魂を入れる儀式)が行われた。大仏を安置する大仏殿は戦火に巻き込まれて2度にわたって焼失。大仏も大きな被害を受けた。江戸時代に再建された大仏殿は世界最大級の木造建築であり、国宝に指定されている。

また、大仏殿の北東側の柱に穴があけられており、ここを通り抜けると願いがかなうとして「柱の穴くぐり」が子ども連れや海外からの参拝客に人気。

  • アクセス  : JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」から市内循環バス「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分
  • 拝観料 : 600円

鎌倉大仏(高徳院本尊・阿弥陀如来像=国宝)

1252年(建長4)から約10年の歳月をかけて建造されたが、造営の目的や開眼年などは不詳。多くの大仏は室内に安置されているが、鎌倉の大仏の最大の特徴は「露座」であること。当初は大仏殿があったが、台風や大地震によって数度にわたって倒壊し、1498年以降、500年以上も風雨にさらされ続けている。露座ならではの傷みもあるが、青空を背景にした大仏には、室内の大仏とは違う美しさがある。

大仏を外側から見るだけでなく、20円の拝観料で大仏の内部(=胎内)に入ることができる。外側からでは分かりづらい修繕の跡を観察するのも楽しみ方の一つ。

  • アクセス : 江の島電鉄「長谷駅」徒歩7分。 JR鎌倉駅東口から江の島電鉄バスまたは京急バス利用で「大仏前」バス停下車なら、ほとんど歩く必要がない。
  • 拝観料 :  200円(胎内拝観は別途20円が必要)

「三大ラーメン」「三大名瀑」「三大夜景」など、日本人は「三大〇〇」が大好きだが、「三大大仏」については定説がない。戦前までは奈良、鎌倉に1891年(明治24年)建立の兵庫大仏を加えて三大大仏と呼ばれていたという。しかし、兵庫大仏は太平洋戦争中の1944年、金属回収令により解体されてしまった。その空席を埋めるの大仏については、91年に再建された兵庫大仏、高岡大仏(富山県高岡市)、岐阜大仏(岐阜市)など諸説がある。

大仏の大きさでいえば、立像の牛久大仏(茨城県牛久市)が台座を含めて120メートルで日本最大。ニューヨークの自由の女神像の約3倍、30階建ての高層ビルに匹敵する高さがある。ただ、1992年完成と歴史が浅いためか、三大大仏には数えられない。

バナー写真 : PIXTA

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