Japan Timeline

Timeline for August 2014

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69回目の広島・長崎「原爆の日」と終戦記念日、沖縄・辺野古の海底掘削調査開始、広島の土砂災害など、2014年8月の日本の出来事を振り返る。

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全日空に続きMRJの導入を決定し、同機の模型を前に握手する日本航空の植木義晴社長(左)と三菱航空機の江川豪雄会長(右)。(写真提供=時事)

YS-11以来およそ50年ぶりとなる国産旅客機として開発中の小型ジェット機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の地上試験場と試験機が、三菱重工業小牧南工場(愛知県豊山町)で公開。「MRJ」の開発は、三菱重工業の子会社である三菱航空機が国の支援を受けて2008年から進めている。試験は今秋から1年半の予定で行われ、機体の強度や耐久性を検証する地上試験、来春の飛行試験を経て、2017年4月に第1号機が全日空に引き渡される予定。

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神戸市にある理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長が、CDBに隣接する先端医療センター研究棟で首をつって死亡。笹井氏は再生医療研究の第一人者で、STAP細胞論文の共著者の一人として小保方晴子研究ユニットリーダーの指導役を務めたが、論文発表後に複数の不正行為があったことが発覚。研究不正を認定した理研の調査委員会は、笹井氏の責任は重大としていた。

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広島原爆が投下されてから69回目の「原爆の日」。広島市中区の平和記念公園で平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族ら約4万5,000人のほか、安倍晋三首相、68カ国と欧州連合の代表らが参列した。核拡散防止条約に加盟する核保有国からは、キャロライン・ケネディ駐日米大使を含む英仏ロの4カ国の代表が出席。ケネディ駐日米大使の広島訪問は、昨年11月の大使就任以来初となった。松井一実市長は平和宣言で、核兵器のない平和な世界の実現をあらためて訴えた。

タイの首都バンコクのマンションで、タイ警察が身元不明の生後1カ月~2歳とみられる乳幼児9人を保護。乳幼児の父親は日本人実業家(24)で、全員、代理出産で生まれたという。その後の調べで、この男性がかかわった代理出産による乳幼児は合計16人に上ることが判明。タイ警察は、児童保護に関する法律に違反している可能性もあるとみて、男性に事情聴取を要請している。

9-10

東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議が開かれているミャンマーの首都ネピドーで9日、岸田文雄外務大臣が韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と会談。日韓外相会談は2013年9月以来、約11カ月ぶり。両者は外相レベルを含め政府間の対話を継続していくことで一致したが、韓国側が厳しい姿勢を崩しておらず、関係改善へ向けた進展はなかった。また、10日には岸田文雄外相と中国の王毅外相が会談。日中外相会談は2012年9月以来で、第2次安倍政権では初。日中関係の改善に向け意見交換をしたが、中国側は尖閣諸島歴史認識の問題で譲歩しないという従来の姿勢を崩さなかった。

69回目の終戦記念日、閣僚の靖国参拝など

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12日からロシア軍が北方領土と千島列島で軍事演習を開始したことを受けて、外務省の武藤顕欧州局参事官がロシア大使館のジョスキー臨時代理大使を呼び「北方四島は日本固有の領土であり、到底受け入れられない」と厳重に抗議。ウクライナ情勢を巡って冷え込み始めた日ロ関係のさらなる悪化が懸念される。

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千鳥ケ淵戦没者墓苑で献花する安倍首相。(写真提供=時事)

69回目の終戦記念日。政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれ、天皇、皇后両陛下、全国の遺族の代表など約4,700人が、戦没者約310万人の冥福を祈った。安倍晋三首相は式辞で「世界の恒久平和に、能(あた)うる限り貢献する」と述べたが、昨年に続き、アジア諸国に対する加害責任には言及しなかった。

新藤義孝総務相と古屋圭司国家公安委員長、稲田朋美行政改革相が靖国神社を参拝(※1)。安倍晋三首相は昨年に続き終戦の日の参拝を見送り、代理人を通じて私費で玉串料を奉納、千鳥ケ淵戦没者墓苑で献花した。閣僚の靖国参拝に対する中国、韓国の反応は、昨年に比べ抑制的だった。

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在シリア日本大使館が、シリア北部で日本人がイスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されたとの情報を入手。拘束されたのは千葉市の湯川遥菜(はるな)さん(42)とみられる日本人男性。湯川さんは今年1月に設立した民間軍事会社「ピーエムシー」の実績作りのためにシリアを訪れていた。シリア反体制派武装組織「イスラム戦線」がイスラム国との交渉にあたっているが、解放までには時間がかかる恐れがある。

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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を進める防衛省が、埋め立て予定地で海底ボーリング調査を開始。1996年に辺野古への移設計画が浮上してから、海底掘削調査が実施されるのは初めて。防衛省は11月中に調査を終え、2014年度中に埋め立てを始めたい考え。

(※1) ^ 古屋氏と稲田氏の肩書は、2014年9月3日発足の第2次安倍内閣成立以前のものです。

広島県の土石流災害、夏の甲子園決勝など

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広島市の安佐南区、安佐北区で局地的な豪雨による土砂崩れや土石流が発生。多数の住宅が巻き込まれ、72人が死亡、2人が行方不明となった(広島県警発表、29日現在)。豪雨の原因は、積乱雲が連続的に発達する「バックビルディング現象」とみられ、安佐北区では3時間に217.5ミリという史上最多の降水量を観測。短時間に大量の雨が降ったことで、もろい地質の地盤の表面が崩れ、大きな被害をもたらした。

警察官らによる捜索活動が続く広島市安佐南区。(写真提供=時事)

中国国家発展改革委員会が、日本の自動車部品・ベアリングメーカー12社に価格操作などで独占禁止法違反があったとして、10社に合計12億3500万元(約200億円)の制裁金を支払うよう命じた。住友電気工業と矢崎総業に対し、それぞれ約2億9,040万元(約48億円)、2億4,108万元(約40億円)と、特に重い制裁金を課した。

日本政府観光局が、7月に日本を訪れた外国人旅行者は前年同月比26.6%増の126万9,700人で、1カ月間として過去最多を記録したと発表。1~7月の累計は750万人を超え、過去最高のペースとなっている。円安傾向や、羽田空港に発着する国際線の増便、東南アジアからのビザの発行要件緩和などが影響したとみられる。

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ロシア政府が、ウクライナ情勢を巡って日本が科した制裁への報復措置として、特定の日本人の入国を禁じることを発表。ロシア外務省のモルグロフ外務次官が原田親仁(ちかひと)駐ロシア大使を外務省に呼び、ロシアへの入国を制限する日本人のリストを手渡した。入国制限の対象となる日本人の名前や人数などについては公表されていない。菅義偉官房長官は25日、「日ロ関係に否定的な影響を及ぼすものであり、極めて遺憾」との声明を発表した。

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バレーボール女子のワールドグランプリ決勝ラウンド最終日が東京・有明コロシアムで行われ、世界ランキング3位の日本が同1位のブラジルに0―3で完敗した。ブラジルは2年連続10度目の制覇。

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甲子園球場で行われた夏の全国高校野球大会決勝で、大阪桐蔭(大阪)が三重(三重)を4―3で破り、2年ぶり4度目の優勝。24日に敦賀気比(福井)との準決勝で完投したエース福島孝輔が決勝でも登板し、完投勝利を果たした。大阪桐蔭の全国制覇は、春夏合わせて5回。

政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、政府の事故調査・検証委員会が事故発生時に現場を指揮した吉田昌郎元所長(2013年7月死去)に聞き取り調査してまとめた記録(吉田調書)を9月に公開すると発表。当初は吉田氏本人の生前の意向を受けて非公開とする方針だったが、一部新聞で内容がすでに報道されたことから、方針を転換し、公開することを決めた。

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理化学研究所がSTAP細胞の存在の有無を確かめる検証実験に関する中間報告を公表。今年1月に小保方晴子氏らが英科学誌ネイチャー(7月に撤回)に発表した方法では万能性の目印となる遺伝子の働きが確認できず、現時点ではSTAP細胞を再現できていないと発表した。今後はマウスや細胞の種類などの条件を変えて3月末まで検証実験を続け、小保方氏も11月末までの期限で独自の検証実験を進める。

安倍晋三首相が、太平洋戦争の東京裁判でA級戦犯やBC級戦犯とされた元日本軍人を追悼する法要に、自民党総裁名で哀悼の意を伝える書面を送っていたことが判明。書面が送られたのは、和歌山県高野町の高野山奥の院にある「昭和殉難者法務死追悼碑」の法要で、4月29日に営まれた。菅義偉官房長官は記者会見で「私人としての行為」と述べた。

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インドのモディ首相が5日間の予定で来日。安倍首相とモディ首相の密接な信頼関係によって、経済や安全保障面での日・印の連携を深めることが期待されている。

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