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ニッポンドットコム・メディア塾 —ジャーナリストを志す皆さんに
[2018.06.01]

メディアの世界は大きく揺れ動いています。かつては大きな社会的影響力を誇った大手新聞、テレビのネット局、有力雑誌は軒並み経営が厳しさを増し、学生のメディア人気にも陰りが見え始めています。加えて、インターネット・メディアの登場で「影響力地図」も大きく塗り替えられようとしています。

その一方で、独立のジャーナリズムが既成の権力に挑み、新たなファクツを掘り起こす仕事が色あせているわけではありません。メディアが根底から変貌を遂げつつある中で、いまも一線のジャーナリストとして報道、制作、映像などさまざまな分野で活躍している方々を講師に招き、ジャーナリスト志望の人々と共にメディアの未来を語り合う「メディア塾」を開きます。

「メディア塾」の形としては、現役の講師からそれぞれの専門のフィールドについて講義をしてもらい、ジャーナリストの日常の暮らし、やりがい、そして現状の厳しさなどについて自由に討論を交わしていきたいと思います。それによって、受講者の皆さんの将来の進路を決める一助になれば幸いです。

イラク戦争で米軍のロケット弾により破壊された教室(イラク南部サマワのムサンナ中等学校)=2004年3月8日、イラク、サマワ(時事)

募集要項

定員10名前後。30歳代前半まで。国籍、性別、学歴などは不問。

申し込み「なぜメディアを目指すのか」についての作文(1000字以内)と、簡単な履歴書をWordファイルでメールに添付する。書式は自由。締め切りは2018年7月31日。合否の結果は随時、送信いただいたアドレスに返信する。

講座開催日時9月半ばから月1~2回、計6回。午後6時から2時間(質疑応答、懇談を含め)。正式の日時は合否連絡の際に連絡する。

会場「ニッポンドットコム」オフィス(東京都港区虎ノ門1-15-16 SPFビル4階)。東京メトロ銀座線 虎ノ門駅下車 出口4から徒歩1分。

受講料無料

応募送信先mediajuku@nippon.com

講師小俣一平(元NHK社会部・検察担当)、谷定文(元時事通信編集局長、経済記者)、野嶋剛(元朝日新聞台北特派員、イラク戦争従軍記者)、斉藤勝久(元読売新聞社会部)、手嶋龍一(元NHKワシントン支局長)、四方田よもた隆(元週刊新潮編集部副部長)。

講師から受講希望者へ(講義の概要)

小俣 一平
メディアと検察特捜事件

日本中を騒がせた『森友学園』の国有地払い下げをめぐる決裁文書改ざん問題は、立件出来るか注目されていたが、不起訴となった。日本では、刑事事件の容疑者を、裁判にかけて処罰を求める起訴か、裁判にかけない不起訴かを判断する権限を持つのは、検察官のみである。検察庁の捜査システムや検察が扱った事件、扱わなかった事件を検証していくと、権力と司法、メディアの関係が見えてくる。講義では、捜査から公判の流れを具体的事例をあげて説明していく。また個々の事件を元に、捜査の流れとそれをマス・メディアはどのように取材し、ニュースにしていったか。またマス・メディアが独自にニュースにしたことにより、後に事件化したケース、例えば「リクルート事件」や「KSD事件」など、『調査報道』と呼ばれる取材手法についても学んでいく。

谷 定文
通信社の機能―経済取材を中心に

一報を入れようとするのだが、電話回線がつながらない。話そうとしても声が出ない。汗びっしょりになって目が覚める。
現役をとうに退いた今でも、こんな夢にうなされる。通信社の記者にとって、「速報は命」と擦り込まれた後遺症だ。
インターネット時代、通信社も読者に直接ニュースを届けるようになった。それでも、通信社のビジネスモデルは依然としてB2Bであり、一般の人にとって新聞やテレビに比べ遠い存在ではないかと思う。経済取材の現場に長くいた者として、通信社の機能・仕事とはどういうものなのか紹介したい。

野嶋 剛
戦争取材とは—イラク戦争に従軍して

戦争はメディアにとって避けられない重要な報道対象であることは論を待ちません。メディアが戦争報道によって部数・視聴率を拡大したのは、日本の大手新聞のみならず、世界の一流メディアに共通の歴史です。
私は、2001年のアフガン戦争、そして、2003年のイラク戦争を朝日新聞特派員として最前線で経験しました。イラク戦争ではエンベッド(埋め込み取材)と呼ばれる特殊なスタイルで米海兵隊に従軍し、戦後の復興やその失敗を取材しました。そのなかで共に取材していた友人のジャーナリストたちも、その後の中東情勢の混迷のなかで相次いで命を失っています。
なぜ記者は戦場に行かなければならないのか。戦争報道の現場の実態とジャーナリズムにおける意義・限界について語ります。

斉藤 勝久
事実を刻むとは何か―昭和最後の日を取材して

限られた時間とスペースの中で記事を書き上げるのは、慣れるまで大変です。誤報は許されません。(報道機関の)他社が先行し、抜かれることもあります。
昭和天皇が病気で倒れた1988年9月、宮内庁のトップはその事実を全面否定しました。でも、皇居内や東宮御所周辺はいつもの平穏な夜とは違いました。夜中なので役所には事実を確認できる取材相手はいません。朝刊の締め切りまであと1時間足らず—。30年前の「昭和最後の日」を取材した体験をもとに、事実を伝える苦労をお話しします。
また、あと半年に迫ってくる御代替わり(天皇の交代)についても、考えていきます。

手嶋 龍一
映像ドキュメンタリーとは何か―グアンタナモ収容基地のドキュメンタリー

アメリカの心臓部が標的となった9.11テロ。アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領は、これを機に「無期限にして無制限の対テロ戦争」を呼号して「ブッシュの戦争」に突き進んでいった。そして中央アジアの山中でテロリストの容疑者を次々に拘束し、カリブ海に浮かぶ「グアンタナモ米海軍基地」に送って収容した。「法の真空地帯」に潜入して制作したドキュメンタリー番組「カリブの囚われ人」を共に見ながら、事実を伝えることの難しさ、ジャーナリストの批判に通底する危うさを考えていく。アメリカの非を鳴らすことは容易い。だが、収容者には現にテロの予備軍が紛れている—。さあ、君ならどうする。

四方田よもた
雑誌ジャーナリズムとは何か――いかにしてスクープを生み出すか

「文春砲」「新潮砲」などと言われ、なにかと話題を提供しているのが週刊誌です。週刊誌報道をきっかけにテレビや全国紙が後を追い、結果、俎上に乗せられた人物が糾弾される。週刊新潮でいえば、財務省の福田前事務次官のセクハラ報道に端を発した辞任劇は記憶に新しいところでしょう。かたや「週刊誌は信用できない」という声もよく耳にします。私は入社以来、27年間、週刊誌に携わり記事を書いてきました。1本の特集記事を作るのに取材体制はどうなっているのか。真剣に誌面を作っている現場の姿をお伝えしたい。また晩年の松本清張作品3作の編集を担当した経験から、戦後日本の代表的なベストセラー小説がどんな調査から生まれ、その文章作法がいかなるものだったかお話したいと思います。

学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典被告(右)と妻の諄子被告が保釈され、開かれた記者会見には多くの報道陣が詰めかけた=2018年5月18日、大阪市北区(時事)

レクチャーの進め方について

各講師の講義については、概要に掲載した通り、ドキュメンタリー番組を視聴しての討論や一つの事件を素材に実際にニュース原稿を書いてみたり、様々な手法を織り交ぜて、進めていきたいと思います。また、テレビ・ドキュメンタリーの制作を志望している方々のために、映像の編集現場を訪れたり、報道番組のスタジオでアンカーの話を聞いたりする企画も検討しています。参加希望の方で具体的な希望があればメールでお寄せください。

  • [2018.06.01]
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