舛添要一氏が東京都知事に初当選

政治・外交

東京都知事選挙は2014年2月9日に投開票され、舛添要一元厚生労働相(65)=自民・公明党都連推薦=が、細川護煕元首相、宇都宮健児元日本弁護士連合会会長=共産・社民推薦=、田母神俊雄元航空幕僚長らを破り、初当選した。都知事としては戦後8人目で、任期は4年。投票率は46.14%で前回(62.6%)を16ポイント余り下回り、過去3番目の低さだった。

今回の都知事選は、猪瀬直樹前都知事が2013年12月24日に、前回の都知事選直前に医療法人徳洲会から5000万円を受領した問題で引責辞任したことに伴い実施されたもの。16人が立候補し、17日間の選挙戦を繰り広げた。

“脱原発”の細川・小泉連合は敗北

都知事選では、“脱原発”を掲げた細川護熙元首相と、それを全面的に支援する小泉純一郎元首相が連携したことで大きな注目を集めた。しかし、多くの課題が山積する中で、細川陣営が取った“脱原発”の単一公約では、無党派層といわれる約3割の都民票を十分に取り込めず敗北した。

舛添氏が掲げた都政の重要政策は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功、首都直下地震などに向けた防災対策の強化、介護・保育・雇用などの社会保障政策の充実が3本柱。新聞各紙の世論調査では、有権者が重視する政策として「医療や福祉政策」「地震などの防災対策」「景気や雇用対策」「防犯や治安対策」など生活に密着した課題が上位を占めた。厚労相経験者である舛添氏が自身の実績をアピールし、これらの民意を吸収する形となった。

都知事選で大勝した舛添要一氏(写真提供=アフロ)

焦点となった原発・エネルギー問題について、舛添氏は選挙期間中、「私は脱原発を言い続けている」と繰り返しながらも、最終判断は国政レベルの問題であるとして現実的な対応の必要性を強調した。

今回、舛添氏は自民・公明両党の推薦を受けた。しかし、舛添氏は自民党が野党に転落した2010年、「自民党の使命は終わった」と批判し離党、新党改革を結成したため、自民党から除名処分を受けた。このため、自民党内には舛添氏推薦に異論が出た。特に、小泉元首相の次男である小泉進次郎復興政務官は「一番苦しいときに『自民党の歴史的使命は終わった』と言って出ていった人だ。応援する大義はない」と、自民党東京都連本部の推薦に反発した。

舛添新都知事のプロフィール

舛添 要一(ますぞえ・よういち)1948年11月29日 福岡県北九州市生まれ。1971年 6月東京大学法学部政治学科卒業。同年7月東大助手。パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員、ジュネーブ高等国際政治研究所客員研究員を経て、1979年4月~1989年6月東京大学教養学部助教授(政治学)。英語、仏語などが堪能な国際政治学者であり、テレビ出演などで解説者、コメンテーターとして人気を博した。1989年6月に東京大学の体質を批判して退官し、舛添政治経済研究所を設立し独立する。一般財団法人ニッポンドットコムの前身であるジャパンエコー社の編集委員(フランス語版編集長)も務めた。

1999年都知事選出馬、落選。2001年7月~2013年7月参議院議員(2期)、2007年 7月参議院議員として当選2回目を果たしてからは、第一次安倍内閣・福田内閣・麻生内閣で厚生労働相を務める。2010年4月~13年7月 新党改革代表。2014年2月東京都知事選挙に初当選。 

東京都知事選挙、主要候補の得票結果

舛添 要一 (65) 無新=2,112,979票
(自民・公明党都連推薦)
  宇都宮 健児 (67) 無新=982,594票
(共産・社民推薦)
  細川 護煕 (76) 無新=956,063票
  田母神 俊雄(65) 無新=610,865票

※投票率46.14%(前回62.6%)

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