衆院選公示:22日投開票、政権継続問う戦いに

政治・外交

第48回衆議院議員総選挙が10日公示され、22日の投開票に向け選挙戦がスタートした。安倍晋三首相の政権運営の是非が最大の争点。連立与党の自民、公明両党が議席を上積みするのは厳しい政治情勢で、両党で憲法改正発議に必要な「3分の2」(310議席)、または絶対安定多数(261議席)、安定多数(244議席)を確保できるかが焦点となる。

今回選挙は、「1票の格差」是正で小選挙区は6減の289となり、比例代表も176と4減された。この結果、総定数は465で過半数は233。

連立与党、保守系野党、「立憲民主・共産」の3極に

今回選挙は小池百合子東京都知事が率いる希望の党の登場、民進党の分裂による「立憲民主党」の誕生などで、政党の構図が大きく変わった。

民進党の前原誠司代表は、今回選挙で同党から「公認候補を出さない」ことを決断。一時は同党の公認候補予定者約210人の全てを希望の党に“合流”させようと調整したが、希望の党は安全保障政策への姿勢などから候補者を選別。10月5日までに200人を超える候補者の擁立を決めたが、民進党出身者は100人強にとどまった。

一方、民進党の枝野幸男代表代行は10月2日、新党「立憲民主党」の設立を表明。菅直人元首相、長妻昭元厚生労働相などリベラル勢力が結集し、70人以上を擁立する。

希望の党は、日本維新の会と東京、大阪で候補者の競合を避けるなど、選挙協力を行うことで合意。共産党は289ある小選挙区のうち67選挙区で公認候補を立てず、立憲民主党や社会民主党など政策の近い候補者への「一本化」を決めた。

これらの動きを経て、選挙は①自民、公明の連立与党勢力、②希望、維新③立憲民主、共産、社民――の3極で争う構図が固まった。

新党効果で、自民は“守りの選挙”か

自民党は過去2回(2014年、2012年)の総選挙でいずれも大勝。しかし、今回は①森友学園、加計学園をめぐる疑惑による内閣支持率の低下②小池都知事の人気による「新党効果」③衆院解散への世論の評価が低いこと――などの要因もあり、安倍首相と連立与党は今回、“守りの選挙”を強いられる状況だ。

首相自身は勝敗ラインについて、「与党(の自公両党)で過半数」(233議席)としているが、自公の解散時議席は323もあり、仮にそのレベルまで議席数が減少すれば退陣は避けられない。

一般的に見て、はっきり「与党勝利」と言えるのは自公で「3分の2」(311議席)を確保した場合。次に衆院の常任委員長ポストを独占し、かつ委員の数でも過半数となる絶対安定多数(261議席)の確保が目安となる。自民単独での議席の減少幅が50を超えると、首相の政治的な求心力は一気に弱まることになるだろう。

消費税、憲法改正が争点

安倍首相は衆院解散の理由について、2019年10月に予定されている10%への消費税率引き上げ分の使途を「子育て支援などに切り替える」ことに信を得るためと説明。北朝鮮の脅威も要因に挙げている。自民党は憲法改正、それも9条への「自衛隊明記」を公約に掲げており、消費税と憲法改正が争点に浮上した。

連立パートナーの公明党は、9条改正に消極的。「教育負担の軽減」を公約に掲げ、幼児教育無償化や私立高校の授業料実質無償化を目指すとしている。

希望の党は、消費税率の引き上げ凍結を主張。憲法改正に前向きなものの、自民党案には反対している。公約では「原発ゼロ」を打ち出した。

維新、立憲民主、共産も、消費税率引き上げに反対。憲法改正については立憲民主、共産が反対の立場を示している。

日本のこころは、自主憲法の制定、防衛力強化などの政策を打ち出している。

文:ニッポンドットコム編集部

バナー写真:党首討論会で握手する希望の党代表の小池百合子東京都知事(中央)ら=2017年10月8日、東京都千代田区(時事)

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