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海でつながる日本とマルタ共和国の新たな関係
[2018.08.22]

もし、すし屋でおいしいマグロを見掛けたら、それは地中海の小国・マルタ共和国からやってきたものかもしれない。日本のマグロ輸入先で、マルタはメキシコに次ぐ第2位だ。2016年には5000トン以上のマグロを日本に輸出している。マルタのジョセフ・ムスカット首相(Dr. Joseph Muscat)によると、最近の好景気の一因は、日本からのマグロ需要の増加によるもので、その結果は今まで赤字だった対日経済バランスを好転させるほどだ。マグロの需要増加は、マルタのマグロが良質というだけの理由ではなく、二国間の長年にわたる信頼関係構築のたまものだと言う。

ムスカット首相は、両国の信頼関係のさらなる構築と新たなビジネスチャンスを求めて、7月29日から8月2日まで代表団を率いて来日した。滞在期間中、安倍晋三首相をはじめとする政府関係者や、多くの企業との会合を重ねた。

ムスカット首相は、マルタの海洋資源によって日本との経済関係がさらに拡充することを望んでいる。

海は島国マルタの生命線

ムスカット首相は、7月30日に東京のシンポジウム(日本財団主催)で講演した後、ニッポンドットコムとの個別インタビューに応じ、日本とマルタの関係や海洋資源保護の包括的なアプローチについて語った。

島国のマルタにとって、海洋資源は生命線だ。だからこそ、長年海洋保護のために海事法のリーダー的な役割を果たしてきた。1967年には、マルタの国連代表アルヴィド・パルド(Arvid Pardo)が、長い間改定されていなかった海事法の変更を提案し、国際社会を驚かせたと首相は述べた。やがてその動きが、国ごとの将来にわたる海洋資源分配を定めた国際法「海事法に関する国際条約(UNCLOS)」の成立(1982年)につながった。

マルタは今でも、魚の取りすぎによる資源枯渇、海洋汚染、気候変動などの脅威から海を守り、安全で持続可能な海洋資源の利用に真剣に取り組んでいる。海事法に特化した弁護士を育てる国連の専門機関「国際海事法研究所」が同国に置かれているのも、そうした理由からだ。2017年には、海洋問題の解決に向けて世界のリーダーたちによる「Our Ocean」会議を主催した。

日本とのさらなる親密な関係構築に向けて

海事法に関するマルタの今までの行動を見ると、同国が海洋問題に包括的に取り組んでいく上で、他に類を見ない独自の立場をとっていることが分かる。「マルタには(自分の利益だけを図るといった)隠された思惑はないと、どこの国もわかっているのです」。一方、ムスカット首相は最小の欧州連合加盟国であるマルタにできることは限られているとも言う。ゆえに日本のような国との事業協力は、極めて重要だ。マルタは、今までに日本がとってきた地球規模の効果的な国際海洋政策や、持続可能な海洋資源利用の促進などの海事問題に関する取り組みを高く評価している。

ムスカット首相が、特に日本と協力して開発を進めたいと考えているのは、漁業分野。「マルタはきちんと国際海事法にのっとって漁獲管理と養殖を行っています」と首相は説明する。「しかし、まだまだイノベーションが必要です」。特に日本が得意としている密閉サイクル式の水産養殖をマグロに適用することで、オメガ3脂肪酸のようなマグロの派生商品を広く医薬品分野に応用していきたいと熱心に語った。首相は、マルタでのこれらの研究は、日本企業や研究機関からの投資によって「爆発的に拡大、進歩する」と確信している。

最後に、首相はマルタと日本の関係について次のように述べた。「国のサイズは大きく異なるけれども、海が私たちをさまざまな形で結び付けているのです」

原文英語

写真・文=ニッポンドットコム編集部

バナー写真:東京のシンポジウム(日本財団主催)で講演するマルタ共和国のジョセフ・ムスカット首相。

  • [2018.08.22]
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