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[ニュース]震災伝承に危機感=「語り部」利用減る-進む風化、活動に暗雲・東日本大震災7年
[2018.03.10]

東日本大震災から間もなく7年。岩手、宮城、福島各県の沿岸被災地では、観光や視察で訪れる人の数が伸び悩み、風化への懸念が強まっている。中でも、被災者らが震災の体験や教訓を話す「語り部」ガイドの利用者はピークから大きく減少。震災の伝承に関わる団体や個人は、将来的な活動継続への危機感を募らせ、企業や行政からの支援を望む声が大きくなっている。

変わる被災地の情景

「見てもらえる震災遺構が減り、今年は語り部にとって転換点になるかもしれない」。「奇跡の一本松」が有名な岩手県陸前高田市で、語り部を続ける一般社団法人「くぎこ屋」代表、釘子明さん(59)は表情を曇らせる。2013年春に社団法人を立ち上げ、震災時の様子や避難所生活など自身の体験を写真とともに、来訪者に伝えてきた。

その陸前高田では1月中旬、復興関係の工事で、津波の傷痕が今に残る旧・道の駅高田松原の施設や、追悼施設のある地域に立ち入れなくなった。近隣で津波が到達した高さ約15メートルを示すガソリンスタンドの看板も撤去される方向だ。釘子さんは「子どもでもよく分かる、津波の怖さを伝える施設だったのに」と残念がり、「地元でどう語り部をやっていくのか、方法を含め考えないといけない」と話す。

復興が進む半面、当時の状況を物語る建物は減った。語り部の男性は「被災地に来ても以前の状況がよく分からないため、リピーターになってくれないのではないか」と指摘する。3県沿岸部の観光客数は、震災前の6~7割まで回復してきたが、頭打ちの状況。関係者によると、岩手、宮城で語り部ガイドを利用した人は、震災の2~3年後をピークに右肩下がりになっている。

語り部つなぐ組織も

逆境の中、震災伝承に取り組む団体・個人などをつなぐ組織「3.11メモリアルネットワーク」が昨年11月発足した。今年2月下旬現在では、3県を中心に200人を超える個人と40以上の団体が参加。代表は、児童・教職員84人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の旧校舎前で語り部を行う鈴木典行さん(53)が務める。鈴木さんは「津波で子どもを失うという普通の生活ではあり得ないことを体験した。他の人には絶対そうなってほしくない」と思いを語る。

ネットワークでは、震災伝承に関係するコンテンツの企画や人材育成などを進める。今後10年間の活動費として3億円の基金設立を目標に掲げ、個人や企業に寄付を呼び掛けている。理事の中川政治さん(41)は「国の予算も(復興・創生期間終了後の)21年度以降どうなるか分からない。今、立ち上がらないと、数十年先まで語り続けられなくなるかもしれない」と話す。

一方、釘子さんも「災害はいつどこで起きてもおかしくない。多くの命の救済につながるよう語り続けたいが資金的には厳しい。防災教育や修学旅行で、一般の語り部が体験を伝えられる助成金制度ができないものか」とサポートの必要性を訴えている。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

  • [2018.03.10]
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