観光

2018/7/9

「ホテル アンテルーム 京都」の朝ごはん

京都のパン&カフェ文化を、クリエイティブに革新

<献立>

  • 主食3種(サンドウィッチとぺストリー)
  • スープ
  • スムージー
  • サラダ
  • デトックスウォーター
  • オリジナルのサラダドレッシング、サラダトッピング、ジャム、ヨーグルトトッピング
  • ほうじ茶チャイ
  • コーヒー、紅茶各種、メレンゲ添え

 1999年、アメリカ・シアトルに「エースホテル」が誕生して以来、古い建物を現代に再生する“コンバージョン”のカッコよさが、全世界に発信されるようになった。

 2011年にオープンした「ホテル アンテルーム 京都」は、古都・京都でコンバージョンの先駆けとなったホテルだ。京都駅の南側という、観光の中心から少しはずれた立地。以前は予備校の学生寮だった建物に、ビジネスホテルの価格帯で高い価値を実現するという、野心的な試みを仕掛けた。

 その第一のキーワードが「アート&カルチャー」。玄関の扉を開けると、目の前に広がるのは、同時代のアートを展示するギャラリー。フロント、ロビー、ラウンジ、客室と、いたるところに現代アートの作品があり、館内はクリエイティブな刺激に満ちている。

 そのアンテルームでもう一つ、特筆すべきがビュッフェ形式で供される朝食である。

 ホテルの朝食ビュッフェといえば、洋食コーナーでベーコンやオムレツ、和食コーナーでひじきの煮物や漬物といったメニューがお決まりの光景だが、ここではモーニングルームに入った途端に、いつもと違うワクワクッとした気分に包まれる。

 まず、カウンターに並ぶ主食のパン。工夫を凝らした3種類のサンドウィッチとペストリーを前に迷う客に、スタッフが明るく声をかける。「3つまでお取りください」――つまり、3種類全部食べられるのだ。しかも、サンドウィッチは注文を聞いて、その場で作ったフレッシュなものを用意してくれる。

 中央のカウンターには、スープ、サラダ、ヨーグルト、飲み物がズラリ。素材、調理、盛り付け、そしてカップやカトラリーまでが、朝にふさわしい軽やかさで統一され、それでいて、手を抜いたところが一つもない。

朝食レストラン「アンテルーム ミールズ」のサイン

案内は、日・英・中・韓の4言語で

レストランの内部は広々としており、壁にはアート作品が展示されている

メニューは2つのカウンターで選ぶ(写真提供=UDS)

 感度抜群の朝ごはんを担当しているのは、女性メンバーを中心に構成されるチーム「アンテルーム ミールズ」だ。

「京都は古都のイメージが強いのですが、実は新しいものを取り入れる気風がすごくあります。食では、パンとカフェの文化が発達していて、私たちはそのカルチャーに触れながら、さらに新しいものを発信しようとしています」と、チームメンバーの一人、森本亜紀は話す。

 メンバーは多才揃い。リーダーの矢口由紀恵は、大学院で栄養学を修め、「スパイスの魔法使い」との異名を取っているが、料理だけでなく、イラストを描き、写真も撮る。ほかに建築好きもいるし、グラフィックデザインをする人も、バンドのボーカルとして活動中の人もいる。

 メンバーたちは、「京都らしさ」を「革新的であること」と読み解き、湯葉、抹茶といった定番の素材も、類型を超えた独自のメニューに変えていく。

「アンテルーム ミールズ」のメンバーたち。毎朝、夜明けから仕込みを始める(写真提供=UDS)

厨房で料理するリーダーの矢口由紀恵(写真提供=UDS)

 京都は、はんなりだけではない。「いま」を載せたクリエイティブ・カルチャーの前線でもあるのだ。

 ある朝のメニューは次の通り。

〇3種のパン

  • ピタサンド:タンドリーチキン、カレー風味のきゃべつ、トマト、レモン
  • バゲットサンド:たこのガリシア風、カイエンペッパーとパプリカ風味
  • ペストリー:シナモンロールとクランベリーツイスト

〇スムージー

ほうれんそう、パセリ、レモン

〇スープ

コーンポタージュ

 サンドウィッチとぺストリー、それらと一緒に手渡してくれるスムージー、そしてスープはすべて日替わり。

〇サラダ

紫きゃべつ、きゃべつ、レタスなど

〇サラダトッピング

ゆばチップス、かぼちゃチップス、揚げじゃこ、ベーコンビッツ、フライドオニオン、粉チーズ、すりごま、プチトマト

〇サラダドレッシング

〇ヨーグルトトッピング

黒豆、きなこ

〇自家製ジャム

キウイ、ラズベリー、ブルーベリー、金柑。タルトタタン風りんごジャムなど季節によって素材が変わる

〇ジュース

オレンジ、アップル

〇デトックスウォーター

ライムとディル

〇ほうじ茶チャイ

ほうじ茶に、しょうが、シナモン、カルダモン、クローブ、黒粒こしょう

〇コーヒー、紅茶各種

ココア味とストロベリー味のメレンゲを添えて

手前左がバゲットサンド、中央がシナモンロールとクランベリーツイスト、右のヨーグルトは黒豆のトッピング。奥左にピタサンド

予備校の学生寮だったエントランスにも、アートワークが。成田令真による作品

館内のアートは彫刻家の名和晃平が一部ディレクションを担当。中庭は、アートディレクターの川上シュンと金子カズキ、フラワーアーティストの田中孝幸、庭師の小野豊によるコラボレーション

ロビーのテーブルは、機材や楽器を運ぶジュラルミンケースを使い「旅」や「音楽」を表現

廊下の先にもアート作品

ラウンジ

アーティストがデザインした部屋もある。この部屋は宇加治志帆が内装を手掛けた

シングルルームもデザインが統一されている(写真提供=UDS)

(文中敬称略)

タイトル写真:レストランの壁にかかる絵は、品川美香の作品

取材・文:清野由美 撮影:楠本涼(提供写真除く) シリーズ題字:金澤翔子(書家)

<情報>
ホテル アンテルーム 京都

601-8044 京都府京都市南区東九条明田町7
電話 075-681-5656 ファクス 075-681-5655
ウェブサイト www.hotel-anteroom.com/
朝食は1000円(税込み)。宿泊客専用だが、宿泊者と一緒の場合は、一般客も可。営業時間は711時(ラストオーダー)。