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2018/4/6

京都「佐野藤右衛門邸」:“桜守”が育んだ銘木たち

・日本全国の桜の保存活動を行う「桜守」の私邸
・200種という圧倒的な品種の多さ
・夜は不定期にかがり火がたかれ、幻想的な空間となる

桜の名所と名木を守り育てる“桜守”の邸宅

「佐野藤右衛門」とは庭師の名跡(みょうせき)で、「植藤造園」の当主が代々受け継いでいる。ユネスコの世界文化遺産に登録され、皇室ともゆかりが深い京都の仁和寺で、1832(天保3)年から植木職人として仕えてきた。

佐野藤右衛門邸の庭

当代は16代目となり、桂離宮(かつらりきゅう)や修学院離宮の庭園整備を任されている他、有名な円山公園「祇園しだれ」などを手掛けている。14代目からは日本全国の桜の保存活動を行っているため、「桜守」としても知られるようになった。その佐野藤右衛門の邸宅の庭が、桜の季節には一般に開放されているのだ。

円山公園の「祇園しだれ」

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桜の博物館のよう品種が豊富

庭園内には約200種類もの桜がある。それぞれが健康な状態で育ち、美しい花を咲かすのは、桜を知り尽くす佐野藤右衛門の自邸ならではといえるだろう。

桜が美しく見えるように石塔が配置されている

石塔が並んだ日本庭園風の造作で、床几(しょうぎ)が鑑賞用に置かれている。そこに腰掛けながら、周囲に咲くベニシダレザクラを見上げると圧巻。空を覆い尽くす桜の花と枝が、美しく見えるように計算して配置されていることに感動する。

ベニシダレザクラの横に置かれる床几

床机から桜を見上げる

邸内の桜の前には、名前を書いた札が立てられている。「彬姫」、「台湾寒緋(かんひ)」、「アーコレード」など珍しい種類が多く、花や木の姿と名前を見比べて、それぞれの由来に思いをはせるのも楽しい。

桜ごとに名札が設置されている

上:彬姫、左下:台湾寒緋、右下:アーコレード

不定期だが、夜にはかがり火がたかれ、幻想的な雰囲気に包まれる。炎のゆらめきに合わせて、桜もよりあでやかな表情へと変化していく。

庭師が常に薪(まき)を足し、かがり火を絶やさない

かがり火が美しく照らし出す夜の桜

私有地なので飲食や喫煙はもちろん禁止。マナー厳守

佐野藤右衛門邸
  • 住所:京都府京都市右京区山越中町13
  • アクセス:京都市バス「山越」より徒歩10
  • 入場料:無料
  • 注意事項:個人宅なので、駐車場など無し。公共交通機関を利用すること

取材・文=藤井 和幸(96BOX)
写真=黒岩 正和(96BOX)