長野県 野沢温泉:心も体も癒やされる源泉掛け流しの湯【5】

・山里の温泉街の情緒が味わえる温泉地
・住民の組織によって13カ所の外湯を維持
・地元の人々との交流も楽しい

温泉が生活に根付く山里の古湯

長野県と新潟県の県境にある毛無山の山裾で、湯煙をあげる名湯「野沢温泉」。奈良時代に、修行僧によって発見されたという北信州の古湯だ。

入り組んだ細い路地に湯宿や土産物屋が軒を連ね、あちこちから温泉が湧き出している。その風景はどこか懐かしさを感じさせ、昔ながらの温泉地の雰囲気に満ちている。歩いて20分ほどで回れる温泉街に、20数軒の温泉宿と13カ所の外湯(共同浴場)が点在している。

野沢温泉のシンボルと言えるのが、源泉の一つである「麻釜(おがま)」。ここの熱湯を使って麻をゆでたのが名前の由来だ。100度近い温泉が引き込まれるブール状の釜は、使い道によって5つに分かれている。野沢菜などをゆでる「大釜」と「ゆで釜」、あけび細工の蔓(つる)をゆでる「竹のし釜」と「丸釜」、少し離れた所にある「下釜」だ。麻釜は地元の人が野菜を洗ったり、卵をゆでたりしながら、世間話をする街の寄り合い所になっている。滑りやすいので柵の中に観光客は入れないが、周囲から村人たちのやりとりを眺めるだけでも楽しい。

麻釜

もう一つのシンボルが、温泉街の中央で威風を放つ共同浴場の「大湯」だ。江戸時代の湯屋建築を今に伝える外湯の代表格で、ミシュランガイドに紹介されてから欧米人旅行者に人気のスポットとなっている。単純硫黄泉を掛け流しており、胃腸病やリウマチなどに効能があるという。こうした共同浴場は、「湯仲間」という地元住民の自治活動によって江戸時代から守られてきた。

大湯

大湯の浴槽

大湯前にある足湯

東京から野沢温泉へのアクセス

自動車:関越自動車道「練馬IC」から上信越道「飯山豊田IC」まで約233キロメートル。さらに国道で温泉街まで約20キロメートル。

鉄道とバス:JR北陸新幹線「はくたか」で「東京駅」から「飯山駅」まで約2時間弱。「飯山駅」からのざわ温泉交通「野沢温泉ライナー」で約25分。

公式ホームページ 北信州野沢温泉 観光協会オフィシャルウェブサイト

写真提供:長野県観光機構

(バナー写真: 麻釜)

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