東北四大祭り「秋田竿燈まつり」:夜空に光り輝く1万の提灯

文化

・大通りを埋め尽くす約280本の竿燈(かんとう)が壮観
・12メートルもの竿燈(かんとう)を額や腰で支える妙技は見ごたえあり
・実際に使われた竿燈に触れられる撮影タイムも人気

稲穂を表す竿燈で厄よけや豊作を祈る「秋田竿燈まつり」

毎年836日に秋田市内中心部で開催される「秋田竿燈まつり」は、東北四大祭りの一つだ。国の重要無形民俗文化財にも指定されている。祭りの起源は、夏の眠気や邪気を払う「眠り流し」という行事で、江戸時代中期の宝暦年間(175164年)に始まったという。現在のように、数十個の提灯(ちょうちん)をつるした竿燈が使われるようになった時期は、はっきりしていない。光り輝く無数の提灯は黄金色に実った稲穂を表し、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る祭りとも言われている。

稲穂に見立てた竿燈が大通りを埋め尽くす
写真提供:秋田市竿燈まつり実行委員会

祭りに使われる竿燈は、大・中・小のサイズがあり、一番大きいものは高さ12メートル・重さ50キログラムにもなり、竿(さお)には46個の提灯がつるされている。提灯は職人の手作りで、一つ一つ町ごとに決められた町紋(ちょうもん)が描かれる。馬や船といった、さまざまな縁起物のデザインにも注目したい。

秋田竿燈まつりの見どころは、何といっても「夜竿燈」だ。明かりをともした約280本の竿燈が大通りに集結し、竿燈を持つ「差し手」と呼ばれる男たちが一斉に竿を上げると、稲穂を表す無数の提灯が輝きながら揺らめき、感動的な光景が繰り広げられる。太鼓や笛が奏でるお囃子(はやし)や威勢のよい掛け声も、祭りのにぎわいを盛り上げる。

竿燈を腰や額で支える差し手の妙技は迫力満点

重さ50キログラムの竿燈を自在に扱う、差し手の技が見事
写真提供:秋田市竿燈まつり実行委員会

最も観客を魅了するのは、差し手の技と力だろう。差し手は、手のひらや額、肩、腰の1点に竿を乗せて見事にバランスをとる。にぎやかなお囃子と「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声とともに、次々に披露される名人芸はスリル満点。夜竿燈に先立って行われる「昼竿燈」では、「竿燈妙技会」が行われ、差し手たちの鮮やかな技の数々を見ることができる。

竿燈の重さを体験できる「ふれあい竿燈」

職人が手作りする提灯は、一つ一つに入った町紋のデザインにも注目 写真提供:秋田市竿燈まつり実行委員会

夜竿燈の演技が終わった後には「ふれあい竿燈」の時間が設けられ、見物客も実際に竿燈に触れて、その重さを実感したり、記念撮影をしたりすることができる。ぜひ参加して、約270年の伝統ある祭りを体感してみよう。

DATA

  • 住所:秋田県秋田市 竿燈大通り
  • アクセス:JR秋田駅から徒歩15
  • TEL:018-888-5602(秋田市竿燈まつり実行委員会)
  • 開催期間:836
  • 料金:見学無料 ※有料観覧席あり…枡席(定員6名)20000円、S3000円、A2500円、B2100円(観覧席予約センター:018-866-9977
  • 多言語対応:HP…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語、パンフレット…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語、スタッフによる案内…英語 

【周辺情報】
秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)

年間を通して「秋田竿燈まつり」が体験できるミュージアム  写真:シュープレス

「秋田竿燈まつり」に加え、ユネスコの無形文化遺産に登録された「山・鉾・屋台行事」の構成要素「土崎神明社祭(つちざきしんめいしゃさい)の曳山(ひきやま)行事」など、秋田の伝統行事や民俗芸能を展示するミュージアムが「秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)」。1階の展示ホールには、竿燈演技が体験できるチャレンジコーナーがあるので、実際に竿燈を手にして差し手の気分を味わってみよう。410月の土日と祝日の午後130分~210分には、竿燈実演も開催している。

DATA

  • 住所:秋田県秋田市大町1-3-30
  • アクセス:JR秋田駅から徒歩15
  • TEL:018-866-7091
  • 観覧時間:9:3016:30
  • 休館日:1229日~13
  • 観覧料:100円、高校生以下無料
  • 多言語対応:パンフレット…英語/韓国語、施設内の案内表示…英語

取材・文=シュープレス
(バナー写真=約280本の竿燈が大通りを埋め尽くす 写真:秋田市竿燈まつり実行委員会)

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