【大使の休日】アマコスト元駐日米大使 ライカ北紀行 —函館— 第24回

白いボールがぐんぐん高くのび、みごとな弾道を描いた。飛距離はなんとプロ並みの260ヤード。

1992年春、当時の駐日米大使のマイケル・アマコストさんが、函館近郊・大沼のゴルフ場で披露した豪快な第1打であった。大使夫人ロバータさんのピアノコンサートのために休日を利用して函館に駆けつけた合間のことだ。

函館市民会館リハーサル。演奏会本番では、満場の喝さいをあびた大使夫人ロバータさん(1992)
函館市民会館リハーサル。演奏会本番では、満場の喝さいをあびた大使夫人ロバータさん(1992)

演奏会後の打ち上げで、大使はふと漏らした。大学卒業後、プロゴルファーになるか、外交官の道を歩むか、迷ったぐらいゴルフ好きだ、と。

さらに、日本各地で開くチャリティー・ピアノコンサートで、いろいろな方と広く交わる機会が多いのは、自分より家内だ。だから大使が二人いる、とうれしそうにおっしゃった。ご夫妻は演奏会の世話をした一人ひとりにお礼を述べられ、じつにジェントルですてきなカップルであった。

演奏会後の打ち上げ。右からロバータ夫人、アマコスト大使、函館日米協会の渡辺会長
演奏会後の打ち上げ。右からロバータ夫人、アマコスト大使、函館日米協会の渡辺恒三郎会長(肩書当時)

大使は在任中、“ミスター外圧”などと呼ばれたこともあった。が、そのころ、わが国の政治家や役人が難問解決のため大使にガイアツを頼んだこともあった、とか。

みごとなドライバーショット。秘書もつれず、ただひとり空港におりたったラフな格好。空港の売店でもとめたサンドイッチを手にして東京便の人となった気どらぬ姿。プライベートな休日だったからか、さわやかな印象が今も消えない。

函館山ロープウエイを楽しむ大使ご夫妻
大使ご夫妻(函館山ロープウエイ)

●道案内

函館山ロープウェイ山麓駅 市電「十字街」下車、徒歩10分(地図へ

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