【函館の塩ラーメン】　ライカ北紀行 —函館— 第46回

函館のラーメンといえば、塩ラーメン。これに尽きる。学生時代、東京で味わった醤油、味噌ラーメンは、僕には今ひとつ、否、今ふたつであった。

創業65年あまりのキッチン中華「あじたか」。昭和20年代、現店主の父親が、夜空に物悲しくひびくチャルメラを吹きながらラーメン屋台を10年ほど曳いた。そのあと本町の電車通りに店をかまえ、さらに、五稜郭公園に近い道立函館美術館裏に移転して30年となる。子どものころ、屋台のうしろを押したこともある二代目・小関義一さん。今は、ひとりで店を切り盛りしている。

二代目・小関義一さん

先代の塩ラーメンの味を頑固に守りながら、店が美術館のそばにあることから、ピカソラーメン、ゴッホ丼など独創的なメニューを生み出してきた。常連が勝手に思うには、この次は「シャガールラーメン」か。丼に太陽に見立てた卵の黄身がぷかりぷかりと浮かんでいる!?

画家シリーズ

小関さんによれば、塩ラーメンの命は、透明感があり飲み口があっさりとしたスープとひかえめでシンプルな具のバランスにあるという。

本町時代から40年ほど通うが、昔なつかしい塩ラーメンの変わらぬ味にしあわせを感じる。

塩ラーメン（2019）

●道案内
キッチン中華「あじたか」　市電「五稜郭公園前」下車、徒歩10分（地図へ）

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