【ハシゴ酒のバル街】 ライカ北紀行 —函館— 第51回

シェフ深谷宏冶、東京理科大の助手から一転、料理人を志した。シベリア鉄道の片道切符をにぎりしめ、フランス、イタリアを野宿もしながらヒッチハイクと職さがしの日々。

その流浪の果てに、北スペインはバスク地方、後に美食の街といわれる港町サン・セバスチャンにたどり着く。スペインで名だたるシェフのルイス・イリサールがひきいるレストラン「グルッチェ・ベリ」での修業がはじまった。

3年ほどでふる里・函館にもどり、伝統的なバスク料理にこだわった「レストラン・バスク」をひらいた。

さらに米穀店を営んでいた築90年の自宅1階に、スペインバル「ラ・コンチャ」を2005年に開業。1階の窓は和風の格子戸、2階は洋風の縦長の上げ下げ式で、函館独特の和洋折衷の建築だ。

イベント「バル街」の拠点「ラ・コンチャ」(大正6年建築)
イベント「バル街」の拠点「ラ・コンチャ」(大正6年建築)

ここの立ち飲みカウンターにつらなれば、昔、マドリッドで朝・昼・晩とかよったバルを思いだす。“シェリー酒”を一杯やり、函館湾でとれた“イワシの酢漬け”、本場よりうまい自家製の“生ハム”を食めば、生きるよろこびが湧いてくる。

「ラ・コンチャ」を核に、重要文化財のカフェなど旧市街の飲食店を一夜限りのバルに仕立て、マップ片手にハシゴ酒をする春と秋のバル街。

重要文化財「太刀川Café」(2014)
重要文化財「太刀川Café」(2014)

古い街並みをそぞろ歩き、新鮮な魚介類などを洒落た一口サイズのピンチョスで味わえると人気がたかい。全国からもファンがおとずれ、函館山のふもとの旧市街は、うきうき顔でいっぱい。

2019年、80店が参加し32回をむかえたこの企画の源は、シェフ深谷さん。今やバル街の催しは、函館から日本の各地にひろがっている。

バル街 フラメンコ
バル街 フラメンコ

●道案内
ラ・コンチャ 市電・十字街下車 徒歩4分(地図へ

「ライカ北紀行 —函館—」作品一覧はこちら

観光 北海道 函館市 グルメ ライカ北紀行 写真 イベント