【神父の野外劇】 ライカ北紀行 —函館— 第53回

かつて京都で新選組“鬼の副長”とおそれられた土方歳三は、官軍の大将と切り結んだ。両者一歩もゆずらず……だが、土方に止めの銃弾一発。命をかけた彼の決戦は箱館でおわった。

土方歳三 最後の決戦
土方歳三 最後の決戦

市民創作・函館野外劇『星の城、明日に輝け』。1988年の第1回以来、32年目をむかえた。この歴史絵巻の提唱者は、フィリップ・グロード神父。故郷、西フランス・ロアール川河口の街・ナントにちかい、ル・ピディフの名高い野外劇をお手本に、大好きな函館の地域おこしになればと一念発起した。特別史跡・五稜郭跡を舞台とするだけに文化庁は難色をしめすも、神父は、当時の長官と談判して道筋をつけたのだ。行動力抜群であった。

グロード神父(1995) 神父が好きな一枚。文化庁も煙にまかれたか?
グロード神父(1995) 神父が好きな一枚。文化庁も煙にまかれたか?

野外劇の場面はリズムよくつぎつぎと展開する。先住民アイヌ、北前船の豪商・高田屋嘉兵衛、黒船ペリー来航による開港、五稜郭の洋式築城、榎本武揚・土方歳三が奮戦した戊辰戦争最後の決戦、函館で死にたいと言った石川啄木……。歴史劇の迫力あるシーンに引きこまれてしまう。

黒船ペリー来航(2019)
黒船ペリー来航(2019)

テーマ曲『星のまちHAKODATE』。『千の風になって』でおなじみの函館郊外に住む新井満による作詞作曲だ。総勢200人となる市民ボランティアの出演者が観客と一体となり、そのテーマ曲を熱唱し、ペンライトをゆらすフィナーレ。感動もの。来年も足をはこぼう。

フィナーレ『星のまちHakodate』を熱唱。ペンライトがゆれる
フィナーレ『星のまちHakodate』を熱唱。ペンライトがゆれる ※第33回公演は来年に延期となった

●道案内
五稜郭公園 市電・五稜郭公園前下車、徒歩10分(地図へ

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