写真で楽しむ沖縄の国立公園:心をリフレッシュしてくれる南国の海と亜熱帯の原生林

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美しい自然環境を保護し、日本の宝として未来に引き継ぐ役割を担う国立公園。沖縄では3カ所が指定され、南の島々ならではのサンゴ礁や亜熱帯の植物、希少な生き物が、伝統ある琉球文化と見事に調和している。新型コロナウイルスの流行で「ステイホーム」が求められているが、絶景写真で少しでも旅気分を味わおう。

①西表石垣国立公園

石垣島随一の人気スポット・川平(かびら)湾 ©OCVB
石垣島随一の人気スポット・川平(かびら)湾 ©OCVB

沖縄県南西部の八重山諸島にある日本最南端、最西端の国立公園。1972年の沖縄返還に伴って西表(いりおもて)国立公園として指定され、2007年に石垣島と周辺の島々を編入した。マングローブを代表とする原生林と神秘的なサンゴ礁が最大の特徴である。

西表島の仲間川に広がるマングローブ林は日本最大級で、国指定の天然記念物。石垣島の名蔵川沿いのマングローブ湿地・名蔵アンパルは、渡り鳥も訪れる野鳥観察の名所で、ラムサール条約にも登録される。西表島と石垣島のみに生育するヤエヤマヤシは15~20メートルと背が高く、石垣の米原ヤエヤマヤシ群落は国指定天然記念物になっている。

仲間川(西表島)のマングローブ林クルーズ ©OCVB
仲間川(西表島)のマングローブ林クルーズ ©OCVB

渡り鳥の重要な中継地となっている名蔵アンパル(石垣島) ©OCVB
渡り鳥の中継地となっている名蔵アンパル(石垣島) ©OCVB

透明度の高いエメラルドブルーの海は、観光客にとって一番の魅力。西表島と石垣島の間にある日本最大のサンゴ礁海域・石西礁湖(せきせいしょうこ)を中心とするサンゴ礁群は、シュノーケリングのメッカ。ミシュラングリーンガイドで3つ星に輝いた川平湾、無人のサンゴ礁州島・バラス島など人気のスポットが点在する。沖縄最高峰・於茂登岳の頂上から見晴らすラグーンの絶景も名高い。

鳩間島と西表島の間にあるバラス島。サンゴのかけらでできた「奇跡の島」で、シュノーケリング・スポットとして人気 ©OCVB
鳩間島と西表島の間にあるバラス島。サンゴのかけらでできた「奇跡の島」で、シュノーケリング・スポットとして人気 ©OCVB

特別天然物に指定されるイリオモテヤマネコ、カンムリワシなど、この地域だけに生息する動物もいる。沖縄の原風景と言われる竹富島の集落では、琉球石灰岩でできた石塀の中を通る白砂の道を水牛車で巡るのが旅の定番だ。

(指定:1972年5月15日 面積:2万1958ha)

西表島のみに生息するイリオモテヤマネコ ©OCVB
西表島のみに生息するイリオモテヤマネコ ©OCVB

琉球文化が色濃く残る武冨島の集落は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される ©OCVB
琉球文化が色濃く残る武冨島の集落は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される ©OCVB

慶良間諸島国立公園

座間味島の座間味村周辺の美しい海 ©OCVB
座間味島の座間味村周辺の美しい海 ©OCVB

沖縄本島の西方、那覇市から約40キロの東シナ海に浮かぶ、大小30あまりの島々で構成される慶良間(けらま)諸島。キラキラと「美しい場所」を意味する沖縄の方言「キラマ」に由来する。最大の島は渡嘉敷島で、座間味島、阿嘉島、慶留間島、前島の周辺に無人島が点在している。

澄んだ海は鮮やかな青色で「ケラマブルー」と呼ばれ、ザトウクジラの繁殖域となっていることからホエールウォッチングも楽しめる。ミシュラングリーンガイド2つ星の古座間味ビーチを筆頭に、白砂の美しい海水浴場が各島にある。

古座間味ビーチ(座間味島) ©OCVB
古座間味ビーチ(座間味島) ©OCVB

阿嘉島の北浜(ニシバマ)ビーチ ©OCVB
阿嘉島の北浜(ニシバマ)ビーチ ©OCVB

島々の展望所などからザトウクジラのジャンプが見えることも 写真提供 : 環境省
島々の展望所などからザトウクジラのジャンプが見えることも 写真提供 : 環境省

慶良間諸島は元々、沖縄本島と陸続きの山脈地帯が地殻変動で沈み、大小の島々になったと推測される。そのため、展望所などからは切り立った海食崖と多島美景観が望める。

古くは琉球王朝と清(中国)との貿易中継点で、第2次世界大戦では米軍が最初に上陸した。史跡や祭礼など、独自の文化が数多く残っている。

(指定:2014年3月5日  面積:3520ha)

米軍施設だった建物を再利用した「国立沖縄青少年交流の家」内には、渡嘉敷島の絶景スポット・赤間山展望台がある。写真は西展望台から阿嘉島方向を撮影  写真提供 : 環境省
米軍施設だった建物を再利用した「国立沖縄青少年交流の家」内には、渡嘉敷島の絶景スポット・赤間山展望台がある。写真は西展望台から阿嘉島方向を撮影  写真提供 : 環境省

渡嘉敷島南端にある阿波連園地は、海と断崖が雄大な景色を織りなす  写真提供 : 環境省
渡嘉敷島南端にある阿波連園地は、海と断崖が雄大な景色を織りなす  写真提供 : 環境省

座間味島にある「高良家」は、清との貿易船の船主が住んだ家で国の重要文化財 写真提供 : 環境省
座間味島にある「高良家」は、清との貿易船の船主が住んだ家で国の重要文化財 写真提供 : 環境省

③やんばる国立公園

沖縄本島北部に広がる、やんばる国立公園の山々 ©OCVB
沖縄本島北部に広がる、やんばる国立公園の山々 ©OCVB

「やんばる」は「山原」のことで、沖縄本島の北部地域を指す。那覇市を中心に市街地が多い南部と違い、名護市以北には山々が連なり、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がる。

やんばる地域の約8割を覆う森林は、雄大な自然景観を創り出し、数多くの動植物を育む。絶滅危惧種のヤンバルクイナを筆頭に、沖縄の県鳥で特別天然記念物のノグチゲラなど、日本全国に生息する鳥類の約半分が確認されている。

海食崖が発達した雄大な風景の沖縄本島最北端・辺戸岬(へどみさき) ©OCVB
海食崖が発達した雄大な風景の沖縄本島最北端・辺戸岬(へどみさき) ©OCVB

茅打バンタ(かやうちばんた、国頭村)の展望台から眺める海と山の絶景 ©OCVB
茅打バンタ(かやうちばんた、国頭村)の展望台から眺める海と山の絶景 ©OCVB

飛ぶことはできない鳥・ヤンバルクイナ 写真提供 : 環境省
飛べない鳥・ヤンバルクイナ 写真提供 : 環境省

かつて沖縄本島といえば南部のビーチリゾートだったが、近年は青い海と緑の森林の両方を満喫できる、やんばる観光も人気が高まっている。遊歩道が整備された国頭村(くにがみむら)森林公園、切り立った石灰岩が連なる辺戸御嶽の大石林山ではトレッキングを楽しむことができる。

亜熱帯の森、マングローブ林を通り抜ける河川も魅力あふれ、ター滝までのリバーハイクや慶佐次川(げさしがわ)のマングローブ・カヤックなどが人気を呼んでいる。

森の中に奇岩や巨石が現れる大石林山を、歩きやすいトレッキングコースで巡れる ©OCVB
森の中に奇岩や巨石が現れる大石林山には、歩きやすいトレッキングコースが整備されている ©OCVB

慶佐次湾から約1キロ続くヒルギ林を、カヤックで水上観賞 ©OCVB
慶佐次湾から約1キロ続くヒルギ林を、カヤックで水上観賞 ©OCVB

落差10メートルのター滝では、水遊びとトレッキングが楽しめる ©OCVB
落差10メートルのター滝では、水遊びとトレッキングが楽しめる ©OCVB

沖縄では、琉球文化を色濃く残す祭礼や行事を地域ごとに伝承している。コロナショックが終息したら、開催時期に合わせて訪問し、沖縄の魅力を堪能してみてほしい。

(指定:2016年9月15日  面積:1万7311ha)

沖縄八景に数えられる塩屋湾(大宜味村)で繰り広げられる、五穀豊穣、無病息災を祈願する「ウンガミ(海神)」 写真提供:環境省
沖縄八景に数えられる塩屋湾(大宜味村)で繰り広げられる、五穀豊穣、無病息災を祈願する祭り「ウンガミ(海神)」 写真提供:環境省

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バナー写真:沖縄の海を悠々と泳ぐナンヨウマンタ ©OCVB

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