写真で楽しむ関東の国立公園(前編):都心から日帰り可能な絶景スポットがめじろ押し

紅葉の名所で山と高原、渓谷に加え、神社仏閣や温泉などもそろう日光国立公園、美しい湿原で知られる尾瀬国立公園、東京から交通の便が良い景勝地が多い秩父多摩甲斐国立公園を紹介。

日光国立公園(栃木県、群馬県、福島県)

紅葉が美しい世界遺産「日光の社寺」が点在する男体山と中禅寺湖 写真:栃木県観光物産協会
紅葉が美しい世界遺産「日光の社寺」が点在する男体山と中禅寺湖 写真:栃木県観光物産協会

栃木県北部の日光市を中心に、群馬県と福島県の3県にまたがる国立公園。1934(昭和9)年の指定時には日光地域に加えて尾瀬地区も含まれており、50年には奥鬼怒川・栗山地域や那須甲子・塩原地域が編入された。2007(平成19)年に尾瀬地区が「尾瀬国立公園」として独立したため、現在の指定区域となった。

公園区域の大半は那須火山帯の山岳地域で、北関東最高峰の白根山(標高2578m)を筆頭に、世界遺産の社寺が点在する男体山(標高2486m)や活発な火山活動を続ける那須岳(標高1917m)など2000メートル級の山が連なる。山麓には高原や湿原が広がり、湖沼や名瀑、渓谷など水辺の景観も変化に富み、特に紅葉シーズンの美しさは格別だ。

雪を冠した冬の日光白根山と中禅寺湖 写真:PIXTA
雪を冠した冬の日光白根山と中禅寺湖 写真:PIXTA

噴煙を上げ続ける那須岳の主峰・茶臼岳(標高1915m) 写真:栃木県観光物産協会
噴煙を上げ続ける那須岳の主峰・茶臼岳(標高1915m) 写真:栃木県観光物産協会

奥日光の湿原・戦場ヶ原に咲くバラ科リンゴ属のズミ 写真:栃木県観光物産協会
奥日光の湿原・戦場ヶ原に咲くバラ科リンゴ属のズミ 写真:栃木県観光物産協会

鬼怒川渓谷のライン下り 写真:栃木県観光物産協会
鬼怒川渓谷のライン下り 写真:栃木県観光物産協会

日光・鬼怒川は、東京から日帰りでも行ける観光地として人気。「日光の社寺」として世界文化遺産に登録されている東照宮、二荒山神社、輪王寺を代表に、中禅寺湖と華厳の滝、いろは坂などの景勝地や日光湯元や鬼怒川の温泉郷、日光江戸村や東武ワールドスクエアといったアミューズメント施設がそろう。

紅葉スポットとして人気の峠道・いろは坂 写真:栃木県観光物産協会
紅葉スポットとして人気の峠道・いろは坂 写真:栃木県観光物産協会

奥日光湯元温泉の源泉 写真:栃木県観光物産協会
奥日光湯元温泉の源泉 写真:栃木県観光物産協会

那須甲子・塩原地域も避暑地、温泉地として知られる。那須高原や塩原渓谷、沼原湿原などの定番観光地に加え、近年は那須御用邸の一部の土地が開放された「那須平成の森」が人気となっている。

(指定:1934年12月4日、面積:11万4908 ヘクタール)

火山性ガスの影響で荒涼とした雰囲気の景勝地・殺生石。遊歩道は那須高原展望台まで続いている 写真:栃木県観光物産協会
火山性ガスの影響で荒涼とした雰囲気の景勝地・殺生石。遊歩道は那須高原展望台まで続いている 写真:栃木県観光物産協会

特に紅葉時期は多くの人が訪れる塩原渓谷に架かるもみじ谷大吊橋 写真:栃木県観光物産協会
特に紅葉時期は多くの人が訪れる塩原渓谷に架かるもみじ谷大吊橋 写真:栃木県観光物産協会

ブナの自然林が残る2011年に開園した那須平成の森 写真:栃木県観光物産協会
ブナの自然林が残る2011年に開園した那須平成の森 写真:栃木県観光物産協会

尾瀬国立公園(群馬県、栃木県、福島県、新潟県)

尾瀬の草紅葉と至仏山 写真:ググっとぐんま
尾瀬の草紅葉と至仏山 写真:ググっとぐんま

群馬と福島、新潟の県境にある尾瀬は、国の特別天然記念物でラムサール条約の登録湿地。日光国立公園の一部として1934(昭和9)年に指定されていたが、2007(平成19)年に会津駒ヶ岳、田代山、帝釈山など周辺地域を編入して独立した。

広さ約760ヘクタールと日本屈指の山岳湿原・尾瀬ヶ原、標高1660メートル地点にある堰止湖・尾瀬沼が、東北地方最高峰の燧ヶ岳(ひうちがたけ、標高2356m)や群馬県北東部の至仏山(しぶつさん、標高2228m)といった山々に囲まれ、絶景を織りなしている。

尾瀬沼越しに望む夏の燧ヶ岳 写真:PIXTA
尾瀬沼越しに望む夏の燧ヶ岳 写真:PIXTA

会津駒ケ岳から中門岳への尾根にある池塘 写真:PIXTA
会津駒ケ岳から中門岳への尾根にある池塘 写真:PIXTA

尾瀬を源流とする只見川の上流にある三条ノ滝 写真:PIXTA
尾瀬を源流とする只見川の上流にある三条ノ滝 写真:PIXTA

尾瀬の名は、合唱曲『夏の思い出』で広く知られる。歌詞に登場するミズバショウの花は、真夏に咲くと思われがちだが、見ごろは5月下旬から6月上旬に迎える。他にはオゼソウやニッコウキスゲ、ヒオウギアヤメ、キンコウカなどの草花が美しく、湿原の木道や登山道が整備され、多彩なハイキングコースが楽しめる。

(指定:2007年8月30日、面積:3万7200 ヘクタール)

湿原に咲き乱れるミズバショウと雪が残る至仏山 写真:PIXTA
湿原に咲き乱れるミズバショウと雪が残る至仏山 写真:PIXTA

ニッコウキスゲと湿原の木道 写真:ググっとぐんま
ニッコウキスゲと湿原の木道 写真:ググっとぐんま

秩父多摩甲斐国立公園(埼玉県、東京都、山梨県、長野県)

巨大な花こう岩・五丈岩がある金峰山山頂からの朝焼け。左奥には富士山が見える 写真:PIXTA
巨大な花こう岩・五丈岩がある金峰山山頂からの朝焼け。左奥には富士山が見える 写真:PIXTA

東西70キロ、南北40キロの広さを有する、都心から最も近い国立公園。当初は「秩父多摩国立公園」だったが、公園エリアの37パーセントを占める山梨県からの要望で、2000年に「甲斐」を加えた現在の名称に変更された。

奥秩父山塊には金峰山(きんぷさん、標高2599m)や甲武信ヶ岳(こぶしがたけ、標高2475m)、雲取山(標高2017m)、瑞牆山(みずがきやま、標高2230m)など2000メートル級が連なるが、火山が含まれないために温泉地は少なめ。その分、千曲川や笛吹川、多摩川、荒川といった重要河川の源流部のために渓谷が多く、御岳昇仙峡や西沢渓谷、奥多摩では変化に富んだ景観を生み出している。

甲武信岳から見る新雪の金峰山と白峰三山 写真:PIXTA
甲武信ヶ岳から見る新雪の金峰山と白峰三山 写真:PIXTA

甲府市北部に位置する国の特別名勝・昇仙峡 写真:やまなし観光推進機構
甲府市北部に位置する国の特別名勝・昇仙峡 写真:やまなし観光推進機構

西沢渓谷の「七ツ釜五段の滝」 写真:PIXTA
西沢渓谷の「七ツ釜五段の滝」 写真:PIXTA

東京からの交通の便が良いため、登山やハイキング、キャンプ、釣り、沢遊びに訪れる人が多い。コロナ禍もあり、特に奥多摩や秩父の三峰山などは、日帰り観光の人気スポットとしてにぎわっている。

(指定:1950年7月10日、面積:12万6259 ヘクタール)

関東屈指のパワ―スポットとして人気が高まっている三峰神社 写真:(一社)埼玉県物産観光協会
関東屈指のパワ―スポットとして人気が高まっている三峰神社 写真:(一社)埼玉県物産観光協会

奥多摩のラフティング風景。秩父の長瀞でもラフティングが人気 写真:TCVB
奥多摩でのラフティング風景 写真:TCVB

バナー写真:紅葉時期の中禅寺湖と華厳の滝 写真:栃木県観光物産協会

観光 登山 自然 紅葉 日光 国立公園 渓谷 秩父 秩父連山 自然保護