日本三景 松島：絶景をより美しく望む「松島四大観」

日本三景に数えられる松島は、眺める場所によってさまざまな表情を見せる。その中でも、より美しく望めるポイントとして知られるのが「松島四大観（しだいかん）」。江戸時代後期に、仙台藩の儒学者・舟山万年によって選定された展望地で、それぞれの景色に合わせた呼称が付けられている。「壮観」の名で呼ばれる大高森（おおたかもり、東松島市）、「麗観」の富山（とみやま、松島町）、「幽観」の扇谷（おうぎたに、松島町）、「偉観」の多聞山（たもんざん、七ヶ浜町）という4つの高台だ。それぞれ印象の大きく異なる松島の姿が眺められることから、車を利用して全てを巡る観光客が近年増えているという。

小高い大高森から一望できる松島の絶景

松島四大観で最もダイナミックな眺め「壮観」

東松島市にある宮戸島のほぼ中央に位置する、標高105.8メートルの大高森。頂上には視界を遮るものが何もなく、松島湾全体を気持ち良く見晴らせ、まさに「壮観」。湾内随一の景勝地という人も多いこの地では、設置されたベンチでくつろぎながら絶景に酔いしれることができる。

【DATA】

• 住所：宮城県東松島市宮戸大高森　
• アクセス：JR「野蒜（のびる）駅」から車で15分
• TEL：0225-86-1511（東松島観光物産公社）
• 営業時間：見学自由
• 多言語対応 ：松島観光協会ホームページ＝英語／韓国語／中国語（簡体・繁体）

富山観音堂から見下ろす優美な「麗観」

島々のしなやかな曲線が美しく交差する　写真提供：松島観光協会

松島町の中心部から離れ、富山の細い林道を進むと大仰寺があり、山頂には奥州三観音のひとつに数えられる富山観音が祭られている。杉や松、もみの木などが茂る中に、富山展望台のあずまやが設置されていて、そこだけ視界が開けている。静寂に包まれた寺の庭から優美な「麗観」を見下ろせば、時が過ぎるのを忘れてしまう。

【DATA】

• 住所：宮城県松島町手樽三浦　
• アクセス：JR「松島海岸駅」から車で15分
• TEL：022-354-2618（松島観光協会）
• 営業時間：見学自由
• 多言語対応 ：松島観光協会ホームページ＝英語／韓国語／中国語（簡体・繁体）

扇状に広がる湾を遠望する朝日の名所「幽観」

湾の奥から朝日が昇る絶景ポイント　写真提供：松島観光協会

松島湾沿いに利府方面へ進み、国道45号の案内板から森の中へ進むと駐車場に突き当たる。少し勾配の強い石段を登れば、山頂の展望所に着く。ここから松島湾を眺めると入り江が扇形に見えることから、「扇谷」と呼ばれている。四大観の中では「幽観」の呼称で親しまれ、特に朝焼けの名所として知られる。秋には紅葉でも真っ赤に染まり、幽玄たる雰囲気に包まれる。

【DATA】

• 住所：宮城県松島町桜岡入　
• アクセス：JR「松島海岸駅」から車で5分
• TEL：022-354-2618（松島観光協会）
• 営業時間：見学自由
• 多言語対応 ：松島観光協会ホームページ
• ＝英語／韓国語／中国語（簡体・繁体）

雄大な松島と往来する船を楽しむ「偉観」

多聞山を横切るように船が塩釜港へと向かう　写真提供：宮城県経済商工観光部観光課

七ヶ浜町の仙台火力発電所の近くにあるビュースポットが多聞山。駐車場から斜面を下っていくと、森のなかに小さな毘沙門堂が見えてくる。展望所はお堂のすぐ裏にあり、そこには松島湾の雄大な眺め「偉観」が広がる。馬放島（まはなしじま）や地蔵島などの島々、その間を縫うように航行する船が気持ちよく見晴らせ、松島町から見るのとは一味違った湾の情景に出会える。

【DATA】

• 住所：宮城県七ヶ浜町代ヶ崎浜八ヶ森56　
• アクセス：JR「多賀城駅」から車で20分
• TEL：022-357-7443（七ヶ浜町観光協会）
• 営業時間：見学自由
• 多言語対応 ：松島観光協会ホームページ＝英語／韓国語／中国語（簡体・繁体）

【周辺情報】
西行戻しの松公園

春は松島随一の桜の名所となる「西行戻しの松公園」　写真提供：松島観光協会

ユニークな名前で知られる、松島湾を見晴らす公園。平安時代後期の歌人・西行法師が、この地にある松の大木の下で童子と出会い、禅問答をして敗れたことで、松島行きをあきらめたという伝説に由来する。多くの桜が植えられており、例年4月中旬から下旬には、満開の桜と日本三景が同時に楽しめる人気の花見スポットとなる。

【DATA】

• 住所：宮城県松島町松島字犬田　
• アクセス：JR「松島海岸駅」から車で5分
• TEL：022-354-2618（松島観光協会）
• 営業時間：見学自由
• 多言語対応 ：松島観光協会ホームページ＝英語／韓国語／中国語（簡体・繁体）

取材・文・写真＝シュープレス
（バナー写真＝大小さまざまな島が浮かぶ松島の風景。写真：宮城県経済商工観光部観光課）