北海道「知床八景」前編:「知床五湖」「プユニ岬」「オロンコ岩」「夕陽台」

・知床を訪れた人の多くが立ち寄る「知床八景」
・世界遺産の大自然を堪能できる「知床五湖」「プユニ岬」
・夕日から流氷まで知床を代表する絶景スポット

20057月、ユネスコの世界自然遺産に登録された「知床」。北海道東部にあるこの半島は、西側が斜里(しゃり)町、東側が羅臼(らうす)町となっている。知床観光の拠点となるのは斜里町のウトロで、ここからアクセスしやすい8つの景勝地は「知床八景」と呼ばれて人気がある。それぞれが独自の個性を持ち、四季ごとにさまざまな表情を見せるため、リピーターや長期滞在者も多い。

知床八景は知床峠の一部を除いて全て斜里町側で、羅臼町の景勝地は含まれていない。そして、「オシンコシンの滝」「オロンコ岩」「夕陽台」の3つは、世界遺産区域の手前にあるので覚えておきたい。

1】知床五湖:世界自然遺産知床を象徴する景勝地

知床連山を背景に、多くの野生動物が生息する原生林に囲まれた「知床五湖」。名もない5つの沼に「一湖」から「五湖」と命名して観光用に整備したところ、知床を訪れた人々が必ず立ち寄るスポットとなった。知床連山や原生林の美しい自然が、湖面に映し出される幻想的な風景が有名である。

空から見た知床五湖。右側に見えるのが有料駐車場から続く高架木道 写真提供:知床斜里町観光協会

五湖駐車場から一湖までは、全長約800メートルの高架木道が続いている。電気柵が設置されているので野生動物に襲われる心配がなく、入場も無料なのでシーズンを通して気軽に絶景が楽しめる。

一湖の湖面に知床連山が写りこむ

五湖の周りを散策したい場合は、地上遊歩道を利用する。こちらは、秋の短期間を除いて、駐車場に隣接する「知床五湖フィールドハウス」でレクチャーを受講しなければ入場できない。また、510日~731日はヒグマ活動期となるため、遭遇回避や対処法を習得したガイドが引率するツアーへの参加が必要となる。クマの出没情報があると閉鎖されることもあるので、事前に公式ホームページなどで確認しておこう。

遊歩道ではヒグマの爪痕や、キツツキ科のクマゲラの食痕(しょくこん)なども見ることができる。エゾシカやエゾリスなど数多くの野生動物に出会える可能性もあり、知床の自然の豊かさをより深く感じられるだろう。

紅葉時期の四湖

近年は、「厳冬期の知床五湖エコツアー」と称したガイドツアーも人気が高まっている。通常は冬季閉鎖となる五湖の敷地内に入り、凍った湖の上を散策しながら雪化粧した知床連山が望める。

冬のエコツアーの様子 写真提供:知床斜里町観光協会

【DATA】

  • アクセス:斜里町ウトロから約14km(車で約20分)、「ウトロ温泉バスターミナル」よりバス25
  • 利用期間:4月下旬~11月下旬(冬季はガイドツアーのみ)
  • 公式ホームページ:https://www.goko.go.jp/

2】プユニ岬:世界遺産の入り口から見る壮大な景色

ウトロから国道334号線を知床五湖や知床峠方面に進むと幌別(ほろべつ)橋があり、そこを境に世界自然遺産区域に入る。そのすぐ先にあるのが「プユニ岬」だ。ウトロの港や町並みが一望でき、夕日の名所としても知られている。

穏やかな夏のプユニ岬。波紋は観光船によるもの

周辺にはエゾシカが頻繁に出没し、運が良ければオジロワシやオオワシも見ることができるだろう。オホーツク海で最初に流氷が流れ着く場所の一つで、海が流氷で埋め尽くされる時もある。最近は、ドライスーツを着て流氷の上を歩く、「流氷ウォーク」が人気アクティビティとなっている。

海面が流氷に覆われた冬のプユニ岬

夕日の名所でもある 写真提供:知床斜里町観光協会

【DATA】

  • アクセス:斜里町ウトロから約4km(車で約5分)

 

3】オロンコ岩:ウトロのシンボルともいえる巨大岩

ウトロ港の近くにある岩で、まるで山のように大きい「オロンコ岩」。高さは約60メートルで、約170段の階段を上った頂上からは、ウトロの町並みや知床連山を見渡すことができる。海側の岩壁はカモメなどの繁殖地となっている。

巨大なオロンコ岩の外観 写真提供:知床斜里町観光協会

岩の頂上から夕日を眺める 写真提供:知床斜里町観光協会

岩を通り抜けられるトンネルの先にはウトロ地区公設駐車場があり、近くには「北海道」という地名の名付け親である明治時代の探検家・松浦武四郎の顕彰碑や、名曲「知床旅情」の歌碑が建てられている。オロンコ岩はアイヌ語で「そこに座っている岩」を意味しており、周辺に住んでいた先住民族の「オロッコ族」から由来した名前だとも言われている。

風の弱い日には鏡面反射したオロンコ岩も見られる 写真提供:知床斜里町観光協会

【DATA】

  • アクセス:「ウトロ温泉バスターミナル」より徒歩5
  • 利用期間:4月下旬~12月上旬(無雪期)

4】夕陽台:高台から黄金色のオホーツク海を見下ろす

「夕陽台展望台」はウトロ市街を一望することができる高台にあり、日没前になると多くの人が集まる場所だ。沈みゆく夕日で朱色に染まる空と海面はとても美しく感動的だ。

夕陽色に染まった空と海面 写真提供:知床斜里町観光協会

冬には流氷に太陽が沈む日もあり、一面の流氷が夕日に染まる景色はこの地ならではといえる。

国設知床野営場の一角にあるため夏は多くのキャンプ客でにぎわう。周辺には公衆浴場「夕陽台の湯」やゲストハウス「夕陽のあたる家」など、名称に「夕陽」が付く施設があり、そちらも人気が高い。

夕日がオホーツク海に沈む瞬間

【DATA】

  • アクセス:「ウトロ温泉バスターミナル」より徒歩15

取材・文=laufen
写真=知床斜里町観光協会、克(laufen
(バナー写真=知床連山が映り込む知床五湖の一湖)

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