愛知「ジブリパーク」が2022年11月オープン:トトロやラピュタの世界観を再現、公園施設の再利用も

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テーマパーク「ジブリパーク」が、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園内に2022年11月1日開業する。愛知県とスタジオジブリの共同事業で、施設の概要発表とともに建設現場も一部公開された。

3エリアでスタート。23年秋に全5エリアが完成

スタジオジブリ作品の世界を体感できる「ジブリパーク」が、11月1日にオープンすることが決定した。場所は2005年愛知万博の会場跡地「愛・地球博記念公園」内で、広さは7.1ヘクタール。施設の企画責任者である「監督」を務めたのは、映画監督の宮崎吾朗氏。全5エリアのうち「青春の丘」「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」で先行開業し、23年秋には「もののけの里」「魔女の谷」エリアを含めたグランドオープンを目指す。

ジブリパークは愛知県が公園事業として約340億円を投じて整備。スタジオジブリと中日新聞社の共同出資会社が運営する。

スタジオジブリ代表取締役の鈴木敏夫プロデューサーは、「(三鷹の森)ジブリ美術館の精神が生きていて、その発展形になっている。ぜひ期待してください」と自信を見せた。日時指定の事前予約制で、入場料は未定だが、愛知県の大村秀章知事は「県の公園事業なので、一般のテーマパークよりも安い設定になる」と述べた。

ジブリパークの公園整備エリア図。愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)の「愛・地球博記念公園」駅から、徒歩すぐの場所にある (C) Studio Ghibli
ジブリパークの公園整備エリア図。愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)の「愛・地球博記念公園」駅から、徒歩すぐの場所にある (C) Studio Ghibli

大村知事(左)と名古屋市出身の鈴木プロデューサー (C) 2022 Studio Ghibli
大村知事(左)と名古屋市出身の鈴木プロデューサー (C) 2022 Studio Ghibli

ジブリ作品の世界観がてんこ盛り

宮崎監督の案内で、2つのエリアの建築現場も公開された。来場者を迎える青春の丘エリアには、映画『耳をすませば』に登場する「地球屋」(バナー画像中央の建物)や「ロータリー広場」を再現。その片隅には、『猫の恩返し』の「猫の事務所」のミニチュアも建設中だ。さらに既存のエレベーター施設を、『天空の城ラピュタ』や『ハウルの動く城』を想起させる内外装に改修している(バナー画像左の建物)。

工事現場を案内する宮崎吾朗監督の背後にある白い建物が「猫の事務所」。足場を組んで建設中の建物が「地球屋」 (C) 2022 Studio Ghibli
工事現場を案内する宮崎吾朗監督の背後にある白い建物が「猫の事務所」。足場を組んで建設中の建物が「地球屋」 (C) 2022 Studio Ghibli

主人公・雫(しずく)がアンティークショップ「地球屋」訪れるシーン 『耳をすませば』 © 1995 柊あおい 集英社・Studio Ghibli・NH
主人公・雫(しずく)がアンティークショップ「地球屋」訪れるシーン 『耳をすませば』 © 1995 柊あおい 集英社・Studio Ghibli・NH

エレベーター棟の意匠には、19世紀末の空想科学的要素を取り入れているという (C) 2022 Studio Ghibli
エレベーター棟の意匠には、19世紀末の空想科学的要素を取り入れているという (C) 2022 Studio Ghibli

ジブリの大倉庫は、映画公開当時のポスターやグッズ、オブジェなどの資料を保管・展示する。温水プールだった建物を再利用し、同じコンセプトの「三鷹の森ジブリ美術館」の約4倍の広さがある。ラピュタの廃虚となった庭園、『借りぐらしのアリエッティ』の床下の家と小人の庭などさまざまなジブリ作品の要素を詰め込み、迷路のように入り組んでいる。どんなキャラクターに出会えるか、宝探し気分で巡れるエリアだ。

ジブリの大倉庫の工事現場。自然光が差し込み、憩いの空間になる (C) 2022 Studio Ghibli
ジブリの大倉庫の工事現場。自然光が差し込み、憩いの空間になる (C) 2022 Studio Ghibli

ジブリの大倉庫の完成予想図。屋外のおしゃれなカフェも建設中だった (C) Studio Ghibli
ジブリの大倉庫の完成予想図。屋外のおしゃれなカフェも建設中だった (C) Studio Ghibli

『となりのトトロ』のねこバスのぬいぐるみが置かれた広場のイラスト  (C) Studio Ghibli
『となりのトトロ』のねこバスのぬいぐるみが置かれた広場のイラスト  (C) Studio Ghibli

今回、現場の公開はなかったが、どんどこの森は愛知万博の際に設置されたトトロの「サツキとメイの家」周辺に、昭和の田園風景が広がるという。園内の豊かな自然を生かした散策路が整備され、目玉は高さ5.2メートルの巨大なトトロの木製遊具「どんどこ堂」だ。

23年開業予定のもののけの里は、『もののけ姫』に登場するエミシの村とタタラ場をイメージし、里山の風景を造り上げる。「魔女の谷」は『魔女の宅急便』のオキノ邸、ハウルの城と荒地などがあるヨーロッパ風の空間となる予定だ。

巨大な遊具・どんどこ堂は、児童が5~6人が中で遊べる (C) Studio Ghibli
巨大な遊具・どんどこ堂は、児童5~6人が中で遊べる (C) Studio Ghibli

2005年愛・地球博の際に建てられた、トトロの「サツキとメイの家」 (C) Studio Ghibli
2005年愛・地球博の際に建てられた、トトロの「サツキとメイの家」 (C) Studio Ghibli

ジブリが初めて手掛けた観光動画も

愛知万博で「サツキとメイの家」を設置したことをきっかけに、県とジブリの関係は始まった。2015年には万博10周年記念として、「ジブリの大博覧会」を愛・地球博記念公園で開催。大村知事は「サツキとメイの家は今でも多くの人に愛され、万博のレガシーとなっている。ぜひとも永続的な施設をと、何度も提案させていただいた」と、ジブリパーク実現までの道のりを振り返る。

愛知県はスタジオジブリに依頼し、「ジブリパークのある愛知」の魅力をPRする動画『風になって、遊ぼう。』も制作。国宝の犬山城や日本遺産の有松の町並み、トヨタ博物館などの名所が登場する。スタジオジブリにとっては初の観光動画だが、鈴木プロデューサーは「ジブリが実写を手掛けるのは珍しいが、手前味みそながら“けっこういいじゃん”」と自画自賛した。

愛知県はジブリパークの来園者数を、開業当初は年間100万人、23年秋の全面オープン後は180万人と予測。コロナ収束後は訪日外国人の来園も期待され、県内の経済効果は年間480億円になると見込んでいる。

観光動画『風になって、遊ぼう。』のキービジュアル。動画は愛知の公式観光サイト「Aichi Now」内の特設サイトなどで公開している (C) 2022 Studio Ghibli
観光動画『風になって、遊ぼう。』のキービジュアル。動画は愛知の公式観光サイト「Aichi Now」内の特設サイトなどで公開している (C) 2022 Studio Ghibli

ジブリパークの工事が着々と進んでいる愛・地球博記念公園
ジブリパークの工事が着々と進んでいる愛・地球博記念公園

取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部
バナー写真=青春の丘エリアのイメージイラスト (C) Studio Ghibli

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