立ち入り禁止ゾーンをゆく! 大迫力の「瀬戸大橋スカイツアー」に潜入した

香川県と岡山県を結び、その長さや規模で世界有数を誇る「瀬戸大橋」。本来なら一般人は立ち入れないルートを通って、海面から175mの高さにある塔頂まで登れるのが、「瀬戸大橋スカイツアー」(参加費:大人2,800円・税込)だ。

なんとこのツアー、これまでは参加の募集をかけたとたんに応募が殺到し、過去には抽選倍率が27倍に昇ったことも。この人気を受けて、今年の秋から参加枠を大きく拡大。多くの人が楽しめるツアーになっている。さっそく行ってみよう!

瀬戸大橋をめぐる冒険! 90分間のアドベンチャーに出発

▲歩くルートはこうだ。まず、コンクリート造りのズドーンとした橋台(アンカレイジ)の中に入って、エレベーターで上がる。続いて、水平に伸びる「管理路」を歩く。さらにエレベーターに乗って175mの高さの頂上を目指す。

現場に集合すると、へルメットを渡された。軍手もはめて、反射板入りのベストを着込み、ケータイやメガネなど落下しそうなものに落下防止のストラップをつけたら準備完了。いざ、瀬戸大橋のたもとへ。

▲想像以上に巨大な橋桁(はしげた)に圧倒される。巨大構造物を眺めていると日頃の悩みが吹っ飛ぶ!

▲頑丈そうな扉をあけて、橋台(アンカレイジ)の内部へ。いよいよだ!

ひええええ、ゆ、揺れる! 秘密のルートはスリル満点

▲中は薄暗く、コンクリートに四方を囲まれた巨大な箱のようだった。

アンカレイジの内部では、ちょっと声を出すとわんわーんと響く。エヴァ初号機あたりが格納されていそうなサイズ感だ。と思ったら、ゴゴゴゴと音が反響し始め、天井から耳をつんざく轟音が!

な、なに、なになに? と身をすくめる参加者たちに「大丈夫ですよ、上の線路を電車が通っただけですから!」と教えてくれる本日の案内人。本州四国連絡高速道路の坂出管理センター副所長・川西芳則さんだ。心臓も胃もドカドカ揺れるほどの音だった。

▲内部には、ツアー参加者のために瀬戸大橋に関する情報がパネルや模型で展示されている。

▲ボタンや電話がいかにも実用重視。ところどころで見かける文字の昭和なフォントがたまらない。

▲もともと一般人が乗ることを想定しないエレベーターはガッタンゴットンと怖いほど揺れる。しかし、こんなスリルは序の口だった!

▲コードや鉄板がむき出しになった無骨な内部をゆく。大友克洋の『AKIRA』みたいでもある。

▲エレベーターを降りると、明るいところに出た! ここからは長い管理路を歩くのだ。

ぎゃーっ! 真下がスケスケの「管理路」を歩く

▲踏み出した通路は、真下が丸見え! ひええええええ。

▲下を見ると怖いから......と横を向くと、最高の見晴らし。

▲風が足の下から吹き上がってくる空中散歩の始まりだ。あっ、スカートの女性はもれなくマリリン・モンローになってしまうから、必ずパンツルックとスニーカーでのぞまれたし。

▲ゴオッと再びの轟音。身構えていると、暴風を巻き起こしながらJR瀬戸大橋線の電車がきた。アンカレイジで爆音を立てていたのはキミかっ!

思えば、約10年の歳月をかけて着工した瀬戸大橋が開通したのは、1988年4月のこと。その1カ月前には、北海道―青森間を結ぶ青函トンネルが完成しており、瀬戸大橋が開通したことによって北海道から本州、さらに四国、九州の線路が一本につながったのだった。

▲線路の両脇には大きくスペースがあいている。実は、いつ新幹線が通ることになってもいいように、複線を2つずつ、計4本の線路を敷ける構造になっているのだ。

探検隊はさらなる上を目指して進む、進む!

▲管理路から階段を上がり、橋桁の上に出た。車の走る音が聞こえてくる。

▲トラックや自動車がビュンビュン通りすぎていく。瀬戸大橋は鉄道と道路を併用した橋としては世界最長で、ギネス記録にも認定されているのだ。

▲潜水艦に乗り込むような扉をくぐって、北備讃瀬戸大橋の塔の内部へ。

▲小さなエレベーターに乗り込んで、海面から175mの高さにある塔頂を目指す。

▲エレベーターを降りて、「立入禁止」の看板をガンガン突破。この"イケナイことをしている感"がこの時点では一番の醍醐味だった。

▲そんなにボルトで止めるの???

ふおおお! 頂上でニッポンの技術力に震える

塔の頂上である175m地点まであと少し。最後の階段を登り、太陽光が差し込む出口から顔を出したら...

▲ドーン!!! 塩飽諸島や四国、本州が360度広がる大パノラマ!

うおおおお! すごい! すごいぞ! これは岡山県側を向いた風景だ。塔の上から見える景色は現実離れしていて、よくできた特撮の風景を見ているみたい! ん? 直線的な橋だとばかり思っていたが、遠くをよく見るとクニャッとカーブしている。

というのも、この瀬戸大橋、実は6つの橋でできているのだった。あのカーブしている橋は吊り橋ではない。自由自在に曲げられるトラス構造タイプの橋なのだ。瀬戸大橋は、吊り橋やトラス橋など、橋のタイプごとに持つ強みを生かしながら島々をつないでいる。

▲こちらはズドーンと一直線! アメリカみたいだ。向こうには香川県・番の州(ばんのす)の工業団地が霞んでいる。

上の写真で見えているのは、北備讃瀬戸大橋と南備讃瀬戸大橋だ。ちなみに、皆さん、この2つの橋に使われているワイヤーを一本につなげたときの長さって、どのくらいだと思います...? 答えは、全部で地球の約5周半! でもって、ビヨーンと弧を描いて伸びている太いケーブルは、1本で4万トンを支えているんだそうだ。

ちなみに、4万トンってどのくらいなの? と思って検索してみたら、1年間に宇宙から地球に降り注いでくる塵の重さとある。壮大すぎて逆にわからない。東京タワーがおよそ4000トンらしいから、アレ10本分というのが一番マシな例えでしょうか。

ついでにもう一つトリビアを。瀬戸大橋では、すべての橋の橋桁・主塔・ケーブルは鉄がサビるのを防ぐため、定期的に特殊な塗料を塗りなおしている。その面積たるや、なんと東京ディズニーランド3個分を合わせてもまだ広い180万平方メートル...考えるだけで気絶しそうだ。

この瀬戸大橋、日本の技術力の結晶と名高い橋でもある。たとえば、海水による腐食を防ぐために、橋脚の基礎を巨大な電極にしている。そうすることで、海水の電気分解を行って、表面に貝殻のような成分で膜を作ることができるのだ。橋の維持は腐食との戦いでもあって、ケーブル内部に乾燥した空気を流すことでワイヤーの腐食を防ぐという工夫もある。

この橋はこれから一体どのくらいもつのだろう?

「私たちは、200年以上はもつ橋だと思っているんですよ。そのために、しっかりとメンテナンスを行っています。また、現在は、必ず来るといわれている南海トラフ地震にも備えて、急ピッチで耐震補強工事を進めているところです」(川西さん)

に、200年...! もってほしい! 我らが瀬戸大橋を200年後の未来人にも変わらず渡っていてほしい!

▲名残おしい帰り道。急な階段をゆっくりと着実に降りていく参加者たち。

▲帰りの管理路からパチリ。広い海をタンカーが悠々と渡っていく。

▲ああ、最初は怖かったけど楽しかった! スリル満点のツアーでした。

「瀬戸大橋スカイツアー」(大人:2,800円、中学生:1,400円/金曜日、土曜日、日曜日及び祝日に実施)の次回募集に関するお知らせは、年明け以降に出る見込みだ。気になる人はぜひ文末の公式サイトでチェックしてみてください!

【取材協力】
本州四国連絡高速道路株式会社
坂出管理センター
住所:香川県坂出市川津町下川津4388-1
電話番号: 0877-45-5511(代表)

(「テレ東プラス」2019年12月17日掲載。元記事はこちら

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