日本で発生する地震とその被害
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日本に地震が多い理由
日本は地震が多い。日本の面積は世界の陸地の0.3%にも満たないが、世界で発生する地震の約10%が日本で起きると言われている。
その理由は、日本列島が、地震が発生するプレートの境界に位置しているからだ。
地球の表面は、10数枚の厚さ数十㎞から200㎞に及ぶ板状の岩盤(プレート)で覆われているが、海のプレートは毎年数㎝ずつ広がり、陸のプレートの下に潜り込んでいる。このため、プレートの境界付近の岩盤には長い歳月の間にひずみがたまり、限界に達すると、陸のプレートが跳ね上がり、岩盤が破壊され地震が発生する。
日本列島では、太平洋プレートが北アメリカプレートに潜り込む日本海溝、フィリピンプレートとユーラシアプレートが接する南海トラフなどが巨大地震の多発地帯となっている。こうした地震は海溝型地震と呼ばれ、同じ場所で数十年から数百年の周期で発生する。
津波も海底を震源とする海溝型地震に伴って発生する。陸のプレートが跳ね上がって地震が発生する際に、海水も大きく上下動することによって、津波が生じる。津波は、陸地に近づき水深が浅くなると後から来る波が追いついて、波が高くなるという傾向がある。湾の中に津波が入り込むと、水深が浅くなることと、湾の形が影響して、津波はさらに高くなる。東北地方北部はリアス式海岸で、深い入り江が多い海岸線をもつため、津波の被害が深刻化しやすい。
内陸型地震と防災への取り組み
日本で発生する地震には、海溝型地震の他に、内陸部の活断層を震源とする「陸域の浅い地震」がある。1995年の阪神淡路大震災や、2008年の岩手・宮城内陸地震がこれにあたる。
海のプレートの潜り込みによるひずみは、境界付近だけではなく陸のプレート内部にも蓄積されており、このひずみを解消するために地下20㎞程度までの地表の岩盤が動き地震が発生する。こうした活断層の活動間隔は海溝型と違って非常に長く約1000年とも言われているが、日本には地震を発生させるような活断層が約2000カ所もあると推定されており、いつどこで地震が起きてもおかしくないともいえる。
こうした国土に住む日本人は、地震を身近な危険と捉え、常に防災対策に力を入れてきた。阪神淡路大震災以降、耐震基準が見直され、公共機関の建築物などは耐震補強工事が進められてきた。特に数十年以内に大規模な地震が発生すると予測されている東海地方は家庭における家具の固定など一般の人々の間でも防災意識は高く、3月15日に静岡県の内陸部で震度6強の地震が発生しているが、負傷者が数十人という被害にとどまった。
東日本大震災について、日本国内ではこれまでの対策についての評価は行われていないが、欧米メディアでは、日本の防災対策が一定の効果を上げたと評価するところもある。AP通信、AFP通信は、緊急地震速報を紹介し、ワシントンポストは阪神淡路大震災以降の厳しい耐震基準について紹介している。
日本で発生した主な地震と津波の被害
日本で発生した主な地震と津波の被害(気象庁調べ)
発生年月日 | 規模 | 地震名 | 死者・行方不明 | 津波 | 最大震度 | 備考 |
1891年10月28日 | 8.0 | 濃尾地震 | 死者7273人 | |||
1896年6月15日 | 8.2 | 明治三陸地震 | 死者21959人 | ◎ | 被害地域が今回と類似 | |
1923年9月1日 | 7.9 | 関東大震災 | 死者不明者10万5000人余 | ◎ | ||
1933年3月3日 | 8.1 | 昭和三陸地震 | 死者不明者3064人 | ◎ | 5 | 被害地域が今回と類似 |
1944年12月7日 | 7.9 | 東南海地震 | 死者不明者1223人 | ◎ | 6 | |
1946年12月21日 | 8.0 | 南海地震 | 死者1330人 | ◎ | 5 | |
1960年5月23日 | 9.5 | チリ地震津波 | 死者不明者142人 | ◎ | ||
1983年5月26日 | 7.7 | 日本海中部地震 | 死者104人 | ◎ | 5 | |
1993年7月12日 | 7.8 | 北海道南西沖地震 | 死者202人、不明28人 | ◎ | 5 | |
1995年1月17日 | 7.3 | 阪神淡路大震災 | 死者6434人、不明者3人 | ◎ | 7 | |
2004年10月23日 | 6.8 | 新潟県中越地震 | 死者64人、負傷者4865人 | 7 | ||
2007年3月25日 | 6.9 | 能登半島地震 | 死者1人、負傷者356人 | ◎ | 6強 | |
2007年7月16日 | 6.8 | 新潟県中越沖地震 | 死者15人、負傷者2346人 | ◎ | 6強 | |
2008年6月14日 | 7.2 | 岩手・宮城内陸地震 | 死者17人、不明6人、負傷者426人 | 6強 |
※地震の規模(マグニチュード)
※1925年以前の地震の震度については気象庁の震度データベースに収録されていない
※チリ地震津波は、日本では震度1以上を記録した地域はない
※関東大震災、阪神淡路大震災は政府が決定した災害としての呼称、気象庁による地震名はそれぞれ関東地震と兵庫県南部地震