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科学技術研究費、過去最高の19兆円―17年度:米国・中国には遠く及ばず

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2017年度の科学技術研究費は過去最高額を記録した。しかし、研究費の総額は中国の半分にも満たない。

総務省の科学技術研究調査結果によると、2017年度の科学技術研究費の総額は前年度比3.4%増の19兆504億円で過去最高となった。増加は3年ぶり。国内総生産(GDP)に対する研究費の割合は3.48%で前年度より0.05ポイント上昇した。

企業の研究費が13兆7989億円と全体の7割以上を占め、大学等は3兆6418億円(同1.0%増)、非営利団体・公的機関は1兆6097億円(6.6%増)だった。

企業の研究費を業種別にみると、「製造業」が11兆9818億円と86.8%を占め、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」(8817億円)、「情報通信業」(6062億円)などの順となった。「製造業」の内訳では、「輸送用機械器具製造業」が3兆646億円と最も多く、次いで「医薬品製造業」が1兆4653億円となった。

また、2018年3月31日現在の研究者数は86万7000人(前年比1.6%)となり、2年連続で増加した。研究者1人あたりの研究費は2197万円(1.8%増)となった。女性研究者数は15万500人(4.5%増)で過去最高となった。研究者全体に占める女性の割合は16.2%で、前年より0.5ポイント上昇した。

主要国との比較では、科学技術研究費の総額は米国、中国に次ぐ第3位だったが、中国の半分以下にとどまっている。

G7+中・韓・露との科学技術研究費比較

研究費(億ドル) 対GDP比(%) 研究者数(万人)
1 米国  5111 韓国   4.23 中国  169.2
2 中国  4512 日本  3.48 米国  138.0
3 日本  1913 ドイツ  2.98 日本  67.6
4 ドイツ  1182 米国  2.74 ロシア  42.9
5 韓国  794 フランス  2.25 ドイツ  40.1
6 フランス  622 中国  2.11 韓国  36.1
7 英国  472 英国  1.69 英国  29.1
8 ロシア  399 カナダ  1.53 フランス  27.8
9 イタリア  299 イタリア  1.29 カナダ  16.2
10 カナダ  262 ロシア  1.10 イタリア  12.7

研究者数は専従換算値
総務省「科学技術研究調査」の報道資料より一部抜粋

関連予算の縮小などにより将来の日本の科学技術力の低下を懸念する声が高まる中、政府は2019年度予算で科学研究費助成事業(科研費)を前年度比86億円積み増すなど対策を強化している。

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