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お茶は好き、でも急須で入れるのは面倒? : ペットボトルへのシフト鮮明

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急須で入れたお茶は美味しい、でも、後片付けをするのは面倒くさい。そんなわがままに応えるためか、最近は「急須で入れたお茶のおいしさ」を売りにするペットボトル飲料も出ている。

かつて「お茶を飲む」と言えば、お湯を沸かし、急須で茶葉を抽出することだった。来客の時も、仕事の合間にほっと一息つく時も、食事の後にも、「熱い緑茶」が日本人にとって最も身近な飲み物だった。

その習慣をガラリと変えたのが、ペットボトル飲料の登場だ。ペットボトル入り緑茶飲料が初めて日本で発売されたのは1990年。ペットボトル普及の初期は散乱ごみに対する懸念から業界の自主規制で1リットル以上の大容量のみだったが、96年に規制が解除され500ミリリットルのボトル飲料の販売が始まると、手軽で持ち歩きできる便利さから、一挙に、普及した。

家計調査(2人以上世帯)の緑茶茶葉と茶飲料(紅茶や麦茶も含む茶系全般のペットボトルや瓶入りの飲料)への支出金額の合計額は2000年以降、1万円強で安定的に推移している。日本人にとって「お茶」が欠かせない飲み物であることは間違いない。

ただ、その内訳には変化が表れている。2007年には1世帯当たりの年間支出金額で、茶飲料(5802円)が、緑茶茶葉(5290円)を初めて逆転。その後も茶飲料の優勢が続いている。直近では、茶飲料6割、緑茶茶葉が4割となっている。若い世代を中心に、急須でお茶をいれるのが面倒と感じる人が増えていて、外出先はもとより、自宅でも冷蔵庫にペットボトルの茶飲料を常備するのが当たり前になりつつある。

お茶の作付け面積は漸減傾向にあるが、生産量は8万トン台で安定している。煎茶用に加工する一番茶の需要は減少傾向にあるが、ペットボトル飲料向けに安価な茶葉の需要が高まっているため、同じ茶の木から三番茶、四番茶を収穫する農家が増えているようだ。

バナー写真 : PIXTA

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