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2018年の百貨店業界、減収に歯止めかからず

経済・ビジネス

電子商取引(EC)の浸透や郊外型ショッピングセンターに押され、百貨店の売り上げが全体的に低迷している。特に地方での業績が厳しく、店舗の閉鎖が相次いでいる。

78社中53社が売り上げ減らす

東京商工リサーチが発表した業績調査によると、2018年(1~12月期)の全国主要百貨店78社の売上高合計は前年比0.087%減の5兆9865億円で、2年連続の減収となった。前期の3.1%減から下げ幅は縮小したものの、減収に歯止めがかからない状態。利益の合計は、前年の46億円の赤字から170億円の黒字に転換した。

78社のうち増収が25社、減収が53社。減収企業が増収企業の2倍以上の約7割を占める中で、少数派の好調組が全体業績を押し上げた格好だ。

売上高トップは高島屋

売上高トップは近畿・首都圏を軸に全国展開する高島屋の7246億円(前年比3.06%増)で、以下、そごう・西武の6859億円(同9.83%減)、三越伊勢丹の6739億円(1.59%減)、大丸松坂屋百貨店の6731億円(4.04%増)の順。

2018年の百貨店売上高ランキング

売上高(億円) 前年比増減(%)
1 高島屋 7,246 3.06
2 そごう・西武 6,858 -9.83
3 三越伊勢丹 6,739 -1.59
4 大丸松坂屋百貨店 6,731 4.04
5 阪急阪神百貨店 4,467 4.34
6 近鉄百貨店 2,593 6.10
7 東急百貨店 1,942 -1.06
8 小田急百貨店 1,445 1.57
9 ジェイアール東海高島屋 1,403 8.48
10 東武百貨店 1,400 -1.24

(東京商工リサーチ調べ)

大手は旗艦店に経営資源集中

全国展開する大手は地方都市の不振店舗のリストラを急いでいる。インバウンド需要やオリンピック需要が見込まれる都心部の旗艦店に経営資源を集中し、一部では業績が再浮上する百貨店も出ている。一方で、長年地元で親しまれてきた老舗も多い「地場独立系」百貨店は減収企業、赤字企業の比率が全体と比べて高く、厳しい経営環境に直面している。

大都市郊外、地方を中心に百貨店の閉店がここ数年相次いでおり、2018以降、伊勢丹松戸店、西武船橋店と小田原店、名古屋市の丸栄、函館市の棒二森屋などが閉店。19年以降も伊勢丹の府中店と相模原店、三越新潟店、甲府市の山交百貨店などの閉店が決まっている。

地方の百貨店の苦境については、消費が長期にわたって低迷していることや、電子商取引(EC)の普及、消費形態・傾向の変化、人口減などによる地域の中心市街地の空洞化、ショッピングモールをはじめとする郊外型商業施設の進出といった背景があるとみられる。

バナー写真:百貨店の化粧品売り場で、買い物を楽しむ中国人観光客(右)=2019年2月6日、東京・銀座の松屋銀座(時事)

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