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阿蘇山のプロフィール : 世界有数の巨大カルデラ

社会

阿蘇カルデラは約27万年前~9万年前の4回の大規模噴火によって形成された世界有数の規模を誇る。その中心部にある中岳は現在も活発に活動を続けているが、カルデラの内側には約5万人が火山と共生して暮らしている。阿蘇山の歴史を振り返る。

2021年10月20日午前11時43分ごろ、熊本県の阿蘇山の中岳第1火口が噴火。噴煙は約3500メートルまで立ち上り、火砕流が火口の西側約1300メートルまで到達した。気象庁によると、大きな噴石が南方に約900メートル飛散。同庁は警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、火口から約2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼び掛けた。

実は、「阿蘇山」という単体の山は存在しない。東西18キロメートル、南北25キロメートル、周囲100キロメートルの世界でも有数の規模を誇るカルデラの中に、高岳(たかだけ)、中岳(なかだけ)、烏帽子岳(えぼしだけ)、杵島岳(きじまだけ)、根子岳(ねこだけ)で構成する「阿蘇五岳」と呼ばれる中央火口丘群が存在する。一般的にはこの五岳を総称して阿蘇山と呼ぶ。

阿蘇の歴史をさかのぼると、約27万年前、14万年前、12万年前、9万年前に大規模な火砕流が発生。巨大噴火によって地下のマグマだまりが空洞になり、地盤が陥没して巨大なカルデラが形成された。その後、中央火口丘群が形成され、カルデラ内に阿蘇五岳が並ぶ現在の姿となった。阿蘇山は由布岳、鶴見岳、雲仙岳という東西方向の火山の並びと、口永良部島、桜島、霧島山という南北方向の火山の並びの会合点にあたる。

有史以降の噴火は中岳に限られていて、最も古い記録が残っているのは553年。その後、現在に至るまで噴火活動を繰り返している。中岳には第1~7までの火口があるが、1940年代以降に活動しているのは第1火口のみだ。

2021年10月 爆発的噴火。噴煙は約3500メートルまで立ち上り、火砕流は火口の西1300メートルまで達した。噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げられた
2019年4月 ごく小規模な噴火
2016年10月 1980年1月以来36年ぶりの爆発的噴火。噴煙は高さ1万1000メートル
2016年4月 熊本地震
2015年9月 噴煙が火口から2000メートルの高さまで上がる
2014年11月 11月25日から噴火が始まり、翌年5月まで継続
2014年1月 2月中旬まで小規模な噴火が時々発生
2011年3月 東日本大震災以降、火口北西側10キロ付近の地震活動が一時的に増加
1980年1月 爆発的噴火、土砂噴出
1975年1~6月 噴火断続。1月下旬に地震群発。1月23日、M6.1 最大震度5の地震を観測
1965年10月 爆発的噴火。噴石多量で建物被害も。活動は同年年末まで続いた
1958年6月 突然爆発的噴火。山腹一帯に多量の降灰。死者12人、負傷者28人

(気象庁、阿蘇市、阿蘇火山博物館、阿蘇火山防災会議協議会、阿蘇ジオパークのサイトの記述を参考とした。年表は最近の主な動きを抜き出したもので、全ての火山活動をカバーしたものではない。)

バナー画像:阿蘇山の噴火(気象庁のライブカメラ/ AFP=時事)

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