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東京の放置自転車、1日2万7000台:30年で10分の1近くに

社会

かつては大きな都市問題だった駅周辺の放置自転車。対策が進み、東京都の放置自転車の数は30年前の約10分の1に減っている。

2000年以降の減少ペースが顕著

東京都の2018年度の調査によると、都内の鉄道駅周辺の放置自転車(※1)は2万7000台余り。前年度より4000台近く減り、過去最少となった。ピークだった1990年の24万3000台から約30年で、10分の1近くまで減ったことになる。(調査は同年10月の昼に都内の区市町村が実施。JRや私鉄、地下鉄約600の駅周辺で、公共の場に放置された自転車の台数を調べた)

区や市による放置自転車のこまめな撤去、公営及び民営の駐輪場・駐車場の増加などの対策が功を奏し、特に2000年以降は減少ペースが軌道に乗った。

収容能力は十分なレベルに

歩行者や緊急車両の通行を妨げる駅前の放置自転車は40年ほど前から、国内の大都市部を中心に長く問題となってきた。東京都のこれまでの調査結果をみると、駅周辺に乗り入れる自転車は、1990年から2000年ごろまでは70万台を超えていたが、その3~4台に1台は路上に放置されていた。

放置自転車がピークだった1990年、乗り入れ台数約70万4000台に対して54万台しかなかった駐輪場の収容台数は、2018年には92万5000台に。全体の数字だけ見ると、収容能力は十分なレベルにある。

撤去台数は減少も、経費はアップ

各自治体は放置自転車を撤去し、盗難車の場合などは持ち主に引き渡し、その他のものは廃棄処分にしている。撤去台数は年々減っているものの、2017年度は約36万台もの自転車が駅前から撤去され、うち約16万台が処分された。

17年度中に東京都内で自転車駐車場の設置や放置自転車の整理・撤去にかかった費用は、計約181億円に上る。うち駐輪場の設置費(投資的経費)が31.2億円、放置自転車の撤去などにかかる経費(消費的経費)は150.3億円。撤去台数が減っているにも関わらず、この消費的経費は前年度より11億円増加した。

大田区の放置自転車対策担当者(都市基盤管理課)はこれについて、「駅周辺の放置自転車対策には、交通誘導員を常時配置するなど結構なコストがかかる。通勤・通学で自転車を毎日使う人は有料駐輪場を使うようになっているが、電車に乗って出かける買い物客や、駅近くの歓楽街に乗り付ける人などが駐輪マナーを守ってくれないことが多い」と説明する。

バナー写真:JR五反田駅前での放置自転車撤去作業(Ryuji/PIXTA)

(※1) ^ 本稿で扱う「放置自転車」とは、自転車のほか原動機付自転車と自動二輪車を含む

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