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不動産業向け融資、バブル期以来の「過熱」-日銀報告

経済・ビジネス

カネ余りの中、銀行の不動産業向け融資が活発化し、バブル期の1990年以来の過熱ぶりを見せている。「不良債権」という妖怪が再び日本をむしばむ恐れはないのか。

日銀の金融システムリポートは、2018年末の不動産業向け貸し出しの対国内総生産(GDP)比率の高さが90年末以来の「過熱」状態にあると分析。新規の融資額はここ1、2年は減少しているものの、残高は増え続け対GDP比率が14.1%と過去最大になった。

背景にあるのは、日銀が超低金利のお金を大量に供給し、カネ余り現象が起きていることがある。企業の資金借り入れが伸び悩む中、不動産投資にカネが向かった。

1980年代後半のバブル期の不動産向け融資に比べて、近年の特徴は、地主が相続税対策で建てるアパートやマンション向けの「アパマン融資」が目立つことだ。地方経済の疲弊で貸出先の確保に苦しむ地銀は、この分野に活路を見出そうとしている。

しかし、スルガ銀行(静岡県沼津市)のように営業成績を無理に上げようとして、借り手の返済能力を超える過剰融資を行い、不良債権が発生するケースもある。借り手の側から見れば、アパートの作りすぎで空室が増え家賃収入が思ったほど入らず、借金を返せないということになり、社会問題化している。

日銀は同リポートで、現状について「地価の全国的かつ大幅な上昇は見られていない」として、バブルの再来とは見ていない。ただ、人口減少でアパートの空室率が上昇したり、家賃が下落したりすることを考えると、「将来の物件需要に対して供給過多になっていないか」注視が必要と警戒。経営基盤の弱い地銀でアパマン融資の比率が高まっていることに注意を促している。

バナー写真:PIXTA

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