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空き家率が過去最高、「景観崩壊予備軍」が4割に

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少子高齢化を背景に、空き家の増加に歯止めが掛からない。「景観崩壊の予備軍」とも言われる放置されたままの問題物件が特に増えている。

総務省が5年ごとに行う住宅・土地統計調査によると、2018年の全国の空き家は846万戸と、前回(13年)に比べ3.2%増加し、過去最高を更新。総住宅数に占める空き家率は13.6%(13年は13.5%)だった。空き家の増加は、親世代が高齢化すると同時に、子どもの世代が実家を離れて暮らす核家族化が進展しているためだ。人口減少も空き家増に拍車を掛けている。

空き家には、賃貸や売却に向けて不動産会社や自治体の空き家バンクに登録している物件もあれば、所有者の意思がはっきりせず、借り手や買い手を積極的に探す形跡のない物件もある。後者のような放置物件が空き家全体に占める割合は今回、調査開始以来、初めて40%の大台に乗った。

これについて、民間調査会社シンクダインの米山秀隆・研究主幹は「手入れされていればまだいいが、取り壊しもせずに放置された物件も数多くあり、街の景観を崩す予備軍だ」として、空き家問題の深刻化を示すと話す。街に老朽化した空き家が増えれば、犯罪の増加や行政サービスの無駄も招く恐れがある。

地域別では、特に人口流出に直面する地方圏で空き家の増加が目立つ。別荘などを除いた空き家率は、和歌山(18.8%)、徳島(18.6%)、鹿児島(18.4%)の各県の順に高い。一方、空き家率が低かったのは移住者増の沖縄や埼玉、神奈川、東京の都心3都県。しかし、米山氏は「東京では北区や荒川区など下町を中心に放置物件の数自体は増えており、都心部にも空き家問題は忍び寄っている」と指摘している。

バナー写真:PIXTA

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