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裁判員制度施行10年:9万人の市民が参画、辞退者は7割近く

社会

日本が裁判員制度を導入して、2019年5月で丸10年。裁判員裁判の件数は計1万2000件を超え、参加した裁判員は補充裁判員も含めて約9万1000人に達した。

97%が有罪、死刑37件、無罪104件

裁判員制度は2009年5月21日、刑事事件に市民の感覚を反映させる目的で導入された。20歳以上の有権者から無作為に選ばれた市民が、最高刑が死刑または無期懲役に当たる罪に関する事件、および故意に被害者を死亡させた事件の裁判で、裁判官とともに審理に加わる。

最高裁によると、19年3月末までの1万2081件の裁判のうち、97%が有罪判決となった。死刑は37件、無期懲役は233件で、無罪は104件だった。審理の平均日数は、09年の3.7日以降、長期化傾向が続いており、18年は3倍近い10.8日となった。

参加者は「良い経験」、でも辞退率は上昇傾向

一方、裁判員の候補者が辞退する割合は、導入時2009年の53.1%から上昇傾向で、18年には67%に達した。候補者を裁判所に呼び出して裁判員を選任する「選任手続き」への出席率は、09年の83.9%から現在は60%台に減った。

報告書では、辞退率が上がり出席率が下がっている原因について、審理の長期化や社会の高齢化のほか、裁判員裁判に対する国民の関心の低下などを挙げている。

裁判員を対象に行ったアンケートでは、95%以上が「非常によい経験」「よい経験」などと、司法に参加したことを肯定的に捉えている。審理内容について「分かりやすかった」と回答した裁判員は、おおむね60~70%で推移している。

バナー写真:最高裁判所=東京都千代田区、2016年6月撮影(時事)

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