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コンビニエンスストアの成長鈍化:24時間営業、値引き制限も曲がり角に

経済・ビジネス

コンビニエンスストアの経営が曲がり角を迎えている。売上高の伸び率が鈍化していることに加え、既存の経営モデル維持にも限界が見えつつある。

年間売上高11兆円超、市場は飽和に近づく?

コンビニエンスストアで、売上高の伸び率が鈍化している。日本フランチャイズチェーン協会の調べでは、2019年4月度は全店ベースで前年同月比2.7%、既存店(※1)ベースで同1.3%の増加にとどまった。伸び率は、浮き沈みを繰り返しつつも09年1月度に前年同月比9.6%増(全店ベース)を記録するなどしていたが、15年ごろから伸び悩みの傾向にある。

1970年代前半に登場した日本のコンビニエンスストアは、右肩上がりの成長を続けてきた。同協会によると、国内のコンビニエンスストアの総店舗数は2019年4月現在、約5万5800店。20年前に比べ約1.5倍も増えた。年間の売上高は2017年度で11兆円を超えている。

成長は続いているものの、近年はかつてのような売上高の伸びは見られない。この状況について、「新規出店を増やす拡大路線が続き、飽和状態になっている」との指摘が一般的だ。

既存の経営モデルに批判も

これまでの経営システムも、一部で存続が厳しくなってきた。2019年2月、大阪府内の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を短縮し、これに対して本部が異を唱えたことをきっかけに、コンビニエンスストアの既存ルールが社会問題として注目を集めるようになった。食品の廃棄ロス増加も指摘され、24時間営業に加えて値引き制限などのルールも批判の対象となった。

これらを受け、大手各社はモデル転換にかじを切り始めている。人手不足などへの対応として新規出店数を抑えた上で、一部店舗で24時間営業をしない短縮営業の実験に着手したり、販売期限が迫った食品に対するポイント還元などの"実質的値引き"を計画したりしている。

この流れを消費者はどう見ているのか。日本経済新聞社が5月に行った調査によると、24時間営業の見直しについて、消費者の72.6%が賛成の意向を示した。賛成の理由として、「人手不足なら客も不便を受け入れるべき」「深夜帯は利用していない」などの声が多かった。

バナー写真:xiangtao/ PIXTA

(※1) ^ 調査月と前年同月でともに営業中の店舗

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