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原子力発電の現状 : テロ対策遅れで川内原発20年停止へ

社会

福島第一原子力発電所の事故から8年余。2019年6月までに新たな規制基準をクリアした5原発9基が再稼働している。ただ、これらの原発もテロ対策工事の遅れで、2020年以降、稼働停止となる可能性が出ている。

2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を境に、日本のエネルギーをめぐる状況は大きく変化した。

震災以前、国内では54基の原子力発電所が稼働し、電力の約30%賄っていた。しかし、事故を受け、政府は2013年7月、原発に対する新規制基準を施行。地震や津波に備え、従来よりも厳しい安全基準をクリアしなければならず、巨額の安全対策費が必要となったことなどから、福島第一も含めて21基の廃炉が決まった。

2019年6月時点で新基準にパスして再稼働にこぎ着けているのは、大飯3・4号機(関西電力)、高浜3・4号機(関西電力)、玄海3・4号機(九州電力)、川内1・2号機(九州電力)、伊方3号機(四国電力)の5発電所の9基。いずれも、福島第一(沸騰水型)とはタイプが異なる加圧水型で、震災の直接の影響がほとんどなかった西日本エリアにある。

一方、原子力規制委員会は、原子力発電所のテロ対策施設である「特定重大事故等対処施設」が期限までに完成しない場合、運転中の原発の停止を命じる方針を決めている。川内1号機は2020年3月、2号機は5月がテロ対策施設の設置期限となっているが、九州電力は完成までにそれぞれ1年程度の遅れを見込むとしており、その間、運転停止を余儀なくされる。この他、高浜、伊方、大飯も設置期限を超過する見込みで、再稼働した原発が相次いで、運転停止に追い込まれる可能性がある。

バナー写真 : テロ対策の遅れで運転停止が見込まれる九州電力の川内原子力発電所(時事)

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